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海外の需給動向【鶏肉/米国】 畜産の情報 2021年7月号

鶏肉卸売価格、上昇傾向で推移

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2021年4月の鶏肉生産量は、わずかに増加
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2020年1〜12月の米国の鶏肉生産量は2022万3000トン(前年比1.5%増)と前年をわずかに上回った(表11)。また、処理羽数は92億3000万羽(同0.1%増)、生体重量は1羽当たり2.91キログラム(同1.4%増)となり、生体重量は微増傾向にある。
 21年1〜4月の生産量は661万8000トン(前年同期比1.7%減)、処理羽数は30億1700万羽(同2.7%減)と前年同期からわずかに減少した。
 一方、21年4月の生産量は167万7000トン(前年同月比2.7%増)とわずかに増加しており、処理羽数は7億6200万羽(同1.3%増)であった。
 

2021年4月の鶏肉卸売価格、大幅に上昇
 USDA/ERSによると、2021年4月の鶏肉卸売価格は1ポンド当たり1.02米ドル(1キログラム当たり250円:1米ドル=111円)、前年同月比89.6%高となり、大幅に上昇した(図13)。2月に25カ月ぶりに前年同月を上回ってから、価格は上昇傾向で推移している。
 USDA/ERSが本年5月18日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、鶏肉卸売価格上昇の背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が沈静化する中、経済活動の再開に伴う外食需要の増加や、冷凍在庫の減少などさまざまな要因があるとしている。中でも冷凍在庫は、持ち帰り需要の高い手羽先などが高水準で消費されていることなどの理由から取り崩され、8カ月連続で前年同月を下回って推移している(図14)。このため短期的な課題として、内食需要に加えて増加する外食需要に対する鶏肉の供給余力を挙げている。
 



 この結果、21年の鶏肉卸売価格は、緩やかな生産量の伸びが見込まれるものの、高い需要を背景に、20年平均より27%高になると予測している。また、22年は、飼料コストが上昇する見込みから生産量の伸びが抑制され、価格は引き続き高止まりすると予測している。

1〜3月の鶏肉輸出量、前年同期比0.2%減
 USDA/ERSによると、2021年3月の米国の鶏肉輸出量は30万トン(前年同月比2.8%減)とわずかに減少した(表12)。輸出先別に見ると、首位となるメキシコ向けが引き続き好調(同6.4%増)であったが、上位輸出先の中でも大きく増えた国と減らした国・地域が混在し、キューバ向け(同114.4%増)やフィリピン向け(同279.5%増)などの増加分が、台湾向け(同40.4%減)やベトナム向け(同48.2%減)などの減少分を相殺する形となった。
 なお、21年1〜3月の鶏肉輸出量は、84万1000トン(前年同期比0.2%減)と前年並みとなった。
 
 
 
(調査情報部 上村 照子)