乳製品代替食品を喫食したことがある人の割合を品目別に見ると、豆乳(飲料。以下同じ)は、多くの国で他の品目よりも高い傾向があり、インドネシアが最大の80%、次いでタイが77%、中国が70%となった(図10)。
アーモンドミルクは、アーモンドの主要生産国である米国が最大の49%、次いでドイツが48%となった一方、日本、インドネシアは3割を下回った。なお、米国、ドイツ、豪州では、アーモンドミルクが全品目の中でトップとなった。
ライスミルクは、多くの国で他品目よりも割合が低い傾向があり、タイが49%と最も高い一方、日本は8%と最も低かった。
ココナッツミルクは、ココナッツの主要生産国であるインドネシアやブラジルなどを中心に割合が高い傾向があり、ブラジルが最大の62%、次いでインドネシアが45%、ドイツ、タイがそれぞれ44%となった一方、日本は28%と最も低かった。
植物由来のチーズ(豆乳チーズなど)は、ブラジルが最大の35%、次いでインドネシアが28%となった。次に、植物由来のアイスクリームは、インドネシアが最大の27%、次いでタイが24%となった。また、植物由来のヨーグルトは、インドネシアが最大の33%、次いで中国が30%となった。
乳製品代替食品を喫食したことがない・覚えていないと回答した層は、豪州が33%と最も高く、次いで米国が31%、日本が29%となった。一方、インドネシア、タイはそれぞれ11%、8%と低いことから、他国と比べて乳製品代替食品が食生活に浸透しているとみられる。
過去1年間の乳製品代替食品の喫食頻度を品目別に見ると、いずれの国も豆乳の喫食頻度がおおむね高い傾向があった(図11)。また、国別では、中国やインドネシア、タイの喫食頻度が全体的に高い一方、日本、米国、豪州では、多くの品目で低い傾向があった。
過去1年間の豆乳の喫食頻度を見ると、「1週間に1回以上」と回答した人の割合は、8カ国全体で22%となった(図12)。属性別では、牛乳・乳製品を喫食する層、ミレニアル世代(1981〜1996年生)、主要地域、高所得者層に加え、世帯用食品の購入にいつも関与している人や菜食志向を中心に食へのこだわりが強いとみられる層の割合が高い傾向があった。また、牛乳・乳製品を喫食する層の割合が23%と比較的高い要因として、完全菜食主義者ではない、準菜食主義者の台頭などがあるとみられる。
豆乳の消費が他の品目と比べて多い日本を属性別に見ると、全項目で8カ国全体の割合を下回ったものの、属性ごとの傾向はおおむね同様となった(図13)。
過去1年間の豆乳以外の乳製品代替食品(アーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルク、植物由来のチーズ、植物由来のアイスクリーム、植物由来のヨーグルト)の喫食頻度を見ると、「1週間に1回以上」と回答した人の割合は、品目別(8カ国全体)で5〜11%となった(図14〜19)。属性別では、いずれの品目も程度は異なるものの、ミレニアル世代(1981〜1996年生)、主要地域、高所得者層に加え、世帯用食品の購入にいつも関与している人や菜食志向を中心に食へのこだわりが強いとみられる層の割合が高い傾向があった。
豆乳の喫食頻度が1週間に1回以上の層と喫食したことがない・覚えていない層で食の志向の違いを見ると、8カ国全体では、すべての項目で喫食頻度が1週間に1回以上の層が喫食したことがない・覚えていない層を上回った(図20)。豆乳などの乳製品代替食品の支持層(喫食頻度が高い層)は食へのこだわりが強い傾向があり、特に健康志向や安全志向の割合が高かった。一方、図8によると、牛乳・乳製品を喫食しない層は、菜食志向を除いて食へのこだわりが少ない傾向があることから、乳製品代替食品の支持層とは異なっている。乳製品代替食品の支持層に占める牛乳・乳製品を喫食しない層の割合は限定的であり、牛乳・乳製品の消費に対して否定的な立場ではない消費者や、準菜食主義者など柔軟性のある消費者の割合が高いと考えられる。
1年前と比べた現在の乳製品代替食品の喫食頻度は、乳製品代替食品を喫食したことがある人を対象とした場合、いずれの国も増えた層(「増えた」「やや増えた」の合計)の割合が減った層(「減った」「やや減った」の合計)を大きく上回ったことから、この1年間に乳製品代替食品の市場は各国で拡大したとみられる(図21)。国別では、タイの増えた層の割合が60%と8カ国の中で最も高く、次いで中国が55%となった。一方、日本の増えた層の割合は34%と最も低く、「変わらない」は56%と最も高かった。
乳製品代替食品に対する価格許容度(内容量などが同等の牛乳・乳製品の価格と比較した場合)は、多くの国で同等程度の価格帯の割合が高く、1〜2割程度の高値、1割以上の安値の層も厚い傾向があった(図22)。なお、豪州、米国、日本は他の国と比べて、高値での購入に消極的な結果となった。
乳製品代替食品を喫食する理由を見ると、乳製品代替食品の喫食経験がある人の場合は、多くの国で「健康・ダイエットに良さそうだから」「おいしいから」の割合が高い傾向があった(図23)。日本については、「安全そうだから」の割合が8カ国の中で最も高くなった一方、「持続可能性に配慮したものだと思うから」は最も低かった。また、「持続可能性に配慮したものだと思うから」は、ブラジル、ドイツの割合が高く、「家畜にとっていいことだと思うから」は、ドイツの割合が最も高かった。
図22の乳製品代替食品の価格許容度について「5割以上の高値でも購入を検討する」と回答した人の場合は、すべての国で「おいしいから」の割合が最も高く、日本は54%と8カ国の中で最も高くなった(図24)。また、乳製品代替食品の喫食経験がある人の場合と比べ、すべての国で「おいしいから」の割合が増加した一方、「健康・ダイエットに良さそうだから」が減少した。日本を筆頭にすべての国で高値での購入にも積極的な層は、特に味を高く評価している人が多かった。