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欧州委員会は5月4日、コロナ禍の規制下における共通農業政策(CAP)の補助金支払いに対応するため、関係当局および生産者の行政手続負担の軽減を目的とした支援措置(注1)を2021年末まで延長することを採択した。欧州委員会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生以来、既存の民間在庫補助(注2)の活用に加え、生産者および中小事業者向けの補助(注3)など、さまざまな対策を講じている。2020年末で終了とされていた同支援措置は、今回の採択により2021年1月にさかのぼって適用されることとなった。
同支援措置では、CAPに基づく農地への立ち入り検査に際し、衛星写真や経度・緯度の位置情報が埋め込まれた写真などを新たに証拠書類として利用できることで、立ち入り検査時の生産者と検査官の物理的な接触を最小限に抑えることとしている。また、同支援措置には、加盟各国においてCOVID-19による移動制限が解除されるまで立ち入り検査の延期が可能となる柔軟な対応も盛り込まれている。さらに、直接支払い、農村開発、果物・野菜・ワイン・オリーブオイル・養蜂分野の市場支援事業に関する物理的な立ち入り検査についても回数が削減される。
(注1) 海外情報「欧州委員会、追加支援措置を採択。新型コロナウイルスの影響下にある生産者のキャッシュフローの改善など」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002681.html)
(注2) 海外情報「欧州委員会、新型コロナウイルスの追加対策を採択。乳製品、牛肉などの民間在庫補助(PSA)を5月7日から。チーズは最大10万トン市場隔離へ」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002692.html)
(注3) 海外情報「EU理事会、生産者および中小事業者向け新型コロナウイルス感染症追加支援措置を採択」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002741.html)
【調査情報部 小林 智也】
豪州とニュージーランド(NZ)両国の間では、4月19日から開始されたトランス・タスマン・バブル(Trans-Tasman bubble)と呼ばれる取り組みが開始された。これをめぐって、両国の酪農業界ではさまざまな反応がある。
トランス・タスマン・バブルとは、タスマン海を挟んだ豪州・NZ両国間で、航空機内でのマスクの着用や行動追跡アプリのダウンロードなどを条件に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検疫隔離を免除して人の往来を認めるという二国間合意である。ただし、4月23日に西オーストラリア(WA)州パースでCOVID-19の市中感染者2名が確認され、パース都市圏を中心に同月24〜27日までロックダウンが実施されたことから、この間は、NZとWA州間の移動に再び制限が設けられるなど、COVID-19の感染状況に応じて弾力的に運用されている。
豪州の酪農業界団体であるデイリー・オーストラリアによると、豪州酪農業界にとって喫緊の課題は酪農家戸数の維持と労働力の確保であるが、特に昨年来のCOVID-19による国境封鎖により、これまで豪州国内の一次産業等に多く従事していたワーキングホリデーや語学留学の学生などが帰国したことなどから、労働力不足に拍車がかかっているとしている。
COVID-19の影響を完全に捉えているものではないが、2019/20年度(7月〜翌6月)における豪州の酪農関連産業従事者数は、前年度に比べて2700人減少(前年度比5.8%減)している(表1)。