研修生の確保対策は、コロナ禍以前はJAと共に新・農業人フェアなど、さまざまなイベントに参加しながら人材確保に取り組んでいましたが、現在は北海道農業担い手育成センターなどと連携しながら、関係機関を通じた就農希望者の確保に当たっています。特に前述の研修施設は、家族経営をモデルにした施設規模・研修内容なので、就農希望者も自分達の営農・生活スタイルに照らし合わせた上で研修先を選択しており、現在は3組の妻帯者と単身女性1名、学生1名の研修生が在席しています。受け入れに当たっては、妻帯者の場合、近隣の生活環境が保育園・学校など、子育てに適しているかを事前に確認していただくことにしており、特に女性の意見を重要な判断材料としています。
また、地元の保育園・小中学校が組織する「学校区コミュニティースクール」と連携し、教諭や生徒が教育的な視点から酪農を学ぶ拠点として位置付けています。さらに、別海町の乳製品を消費財として取り扱っている生活クラブ生協連合会を窓口として、生産者にとっては「消費者との交流の場」、消費者にとっては、「酪農を知るための援農体験の場」として主に首都圏に所在する同生協組合員を受け入れています。
新規就農希望者の研修は3年間とし、1年目は搾乳、哺乳を中心に粗飼料収穫、草地の維持管理作業など実地作業を中心に取り組み(写真2)、最終年には実地研修として、目指す経営スタイルに見合った放牧酪農を経験するなど、さまざまな基本的酪農手法を学びます。
学生を対象に短期実習生も受け入れており、日本獣医生命科学大学をはじめ、北海道内外の動物専門学校による学外実習の施設として活用し、研修生の一組が同大学の卒業生であり、就農を目指し日夜研修に励んでいます。例年数多くの学生が実習に訪れ、実際の酪農現場を目で見て体験し、感じたことを広く発信していただき、卒業後の進路選択として、酪農業界を目指してほしいと願っています。
実地研修の他、獣医師、人工授精師、削蹄師など技術者からの専門知識を習得するとともに、JA職員および系統連合会職員や普及員による座学講座も並行して行っています。
研修時間は、会社の就業規則に基づき1日8時間労働としています。時間割は、早朝5時から8時、日中9時から11時とし、休息後、夕方は15時から18時の間で作業に当たり、交代制で20時から夜間の見回りを行っています。この間、朝晩の搾乳、哺乳、給餌、除ふん作業、人工授精・獣医治療の立会など、ローテーションを組みながら夫婦を基本として作業に当たっています。特に研修生の中には子どもたちもいることから、家族の時間を大切にするため早朝と夕方の作業は分娩など、緊急時以外は時間厳守で行っています。