1 令和3年5月の牛肉生産量(部分肉ベース)は、2万5458トン(前年同月比0.9%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。品種別では、和牛は1万1925トン(同1.5%増)、交雑種は6395トン(同2.1%増)と、ともに前年同月をわずかに上回った。一方で、乳用種は6717トン(同1.5%減)と、前年同月をわずかに下回った。
なお、過去5カ年の5月の平均生産量との比較では、0.6%減とわずかに下回る結果となった。
2 5月の輸入量は、冷蔵品は、前年同月の輸入量が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い北米の現地工場が稼働停止した影響により少なかったことなどから、2万2568トン(同9.7%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図2)。冷凍品は、前年同月の輸入量が不足する冷蔵品の代替により多かったことに加え、豪州産牛肉の生産量減少や米国産牛肉のアジア諸国への輸出量の増加および米国の国内需要の増加による現地相場の高騰などから、2万7062トン(同8.1%減)と前年同月をかなりの程度下回った(図3)。この結果、全体では4万9633トン(同0.8%減)と前年同月をわずかに下回った。
なお、過去5カ年の5月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は1.9%増とわずかに上回る一方、冷凍品は6.4%減とかなりの程度下回る結果となった。
3 5月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は、204グラム(同16.1%減)と前年同月を大幅に下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の5月の平均消費量との比較では、4.9%増とやや上回る結果となった。
一方、外食産業全体の売上高(同19.8%増)は、緊急事態宣言が延長され酒類提供店への休業要請があったものの、昨年の落ち込みの反動から前年同月を大幅に上回る結果となった。しかしながら、一昨年よりは依然として下回って推移している(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフード洋風はテイクアウト・デリバリーなどにより好調が続いたことから、同10.3%増と前年同月をかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファーストフード和風は高付加価値メニューの好調などにより客単価が上昇したことから同12.1%増とかなり大きく、焼き肉も郊外立地店に家族客が戻ったことから同35.5%増と大幅に、いずれも前年同月を上回った。
4 5月の推定期末在庫は、12万3233トン(同16.6%減)と前年同月を大幅に下回った(図4)。このうち、輸入品は11万378トン(同19.0%減)と前年同月を大幅に下回った。
推定出回り量は、6万8920トン(同0.5%減)と前年同月をわずかに下回った(図5)。このうち、国産品は2万4842トン(同0.5%減)、輸入品は4万4079トン(同0.5%減)と、ともに前年同月をわずかに下回った。
(畜産振興部 高城 啓)