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海外の需給動向【豚肉/米国】 畜産の情報 2021年8月号

豚肉卸売価格、米国内外からの高い需要を背景に高水準

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2021年6月の総飼養頭数、前年比2.2%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)の「Hogs and Pigs」(四半期報告)によると、2021年6月1日時点の豚総飼養頭数は、繁殖豚頭数、肥育豚頭数ともに減少したことから、7565万3000頭(前年比2.2%減)となった(表3)。また、3〜5月期の分娩母豚頭数、産子数、1腹当たりの産子数も減少しており、前回(3月1日時点)に引き続き、前年と比べ豚群は縮小している。USDAによると、母豚価格が大幅に上昇し、生産者は繁殖豚を導入しにくくなっている状況にあると分析している。また、現地報道によると、米国内で豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)が発生していたことが、1腹当たりの産子数減少の一因とされている。

 
豚肉輸出は、前年から引き続き堅調に推移
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)の「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2021年4月の豚肉輸出量は29万7100トン(前年同月比2.1%増)となり、海外からの強い需要を受けて堅調に推移した(図6)。

 
 輸出先別に見ると、中国・香港向けは、これまでと同様に輸出先の中で大きな割合を占めているものの、中国国内の養豚生産が回復してきている(注)ことから4月の輸出量は前年同月比35.3%減の6万9400トンと大幅に減少した。一方、メキシコ向けは主に加工用として利用されるものの、新たにスーパーやコンビニエンスストアなど小売需要も高まったことで同55.5%増と大幅に増加した。また、フィリピン向けも、同国内で発生したアフリカ豚熱による国内の豚肉供給量の減少を受け、4月に一時的に関税率を引き下げたことから輸出量が増加し、これらが中国・香港向けの減少分を相殺する形となった(表4)。

(注)『畜産の情報』 2021年6月号「中国国内の豚肉生産は回復基調で推移」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001668.html)を参照されたい。
 

 
生体豚輸入頭数、大幅に増加
 豚飼養頭数の減少を受けて、4月の生体豚の輸入頭数は53万3533頭と前年同月比22.5%増となった。その中でも、50キログラム以上のと場直行豚の輸入頭数が2021年に入ってから増加傾向で推移し、4月は前年同月比63.9%増の11万5712頭となった(図7)。飼養頭数の減少に加え、米国での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進む中で、外食産業の再開などにより豚肉需要が増加していることも輸入豚、特にと場直行豚の輸入を後押ししたとみられている。


肥育豚価格、前年同月比74.1%高
 米国内外での豚肉需要の高まりなどから5月の豚肉の冷凍在庫量は前年同月比1.5%減の20万9170トンと減少している(図8)。また、2021年5月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー(注))は、同11.0%高の100ポンド当たり117.46米ドル(1キログラム当たり290円:1米ドル=112円)となり、21年1月から前年同月を上回って推移している(図9)。また、肥育豚価格も高水準で推移しており、5月は同74.1%高の100ポンド当たり81.01米ドル(同200円)と大幅に上昇した(図10)。今後の肥育豚価格についてUSDAは、第3、第4四半期の肥育豚価格を過去の季節的傾向に基づく下げ幅を上方修正しており、21年の肥育豚価格は平均して同70米ドル(同173円)前後と予想している。

(注)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構築した卸売指標価格。





 
(調査情報部 上村 照子)