国内外の豚肉需要の高まりを受け、肥育豚価格が上昇
カナダ農業省(AAFC)の「Hog Slaughterings at Federally and/or Provincially Inspected Packing Plants」によると、2021年5月の豚と畜頭数は151万頭(前年同月比8.6%減)と減少したが、同年1〜5月の累計では904万4000頭(前年同期比1.2%増)と前年をわずかに上回って推移している(図11)。
一方で、AAFCの「Hog Weighted Average Price Report」によると、2021年5月の肥育豚価格は100キログラム当たり278カナダドル(2万5298円:1カナダドル=91円)(前年同月比35.6%高)と大幅に上昇した(図12)。AAFCでは、2021年2月以降、肥育豚価格が大幅な上昇傾向で推移している背景として、カナダを含む北米における夏場のバーベキューシーズンに向けた豚肉需要の高まりと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けた外食産業の再開に加えて、米国での豚肉在庫の減少などを挙げている。また、カナダ農業公社(FCC)は、中国をはじめとするアジアやヨーロッパでのアフリカ豚熱の発生と中国をはじめとするアジアの豚肉需要の高まりが依然として肥育豚価格の上昇の要因となっていると推察しており、中でも輸出先として大きな割合を占める中国の豚肉生産量と輸入量の今後の動向に注目している。
豚肉輸出量、前年と比較して引き続き好調に推移
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2021年4月の豚肉輸出量は10万5500トン(前年同月比8.0%増)とかなりの程度増加した(表5)。輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは3万1900トン(同41.3%減)と中国国内の豚肉生産量が回復傾向にあることから大幅に減少したが、依然として同国でのアフリカ豚熱の発生による影響は続いており、輸出先としてはトップを維持している。次いで輸出量の多い米国向けは2万1000トン(同59.3%増)と大幅に増加し、日本向けも1万8500トン(同15.9%増)とかなり大きく増加している。また、アフリカ豚熱の発生が続いていたフィリピン向けも、同約5.3倍の1万2700トンと引き続き高水準で推移している(表5、図13)。
(調査情報部 岡田 卓也 (現JETRO))