肉用種、乳用種ともに増加
肉用牛の飼養戸数は、生産者の高齢化などにより離農が進んでいることから減少傾向にあり、令和3年は4万2100戸(前年比4.1%減)と前年からやや減少した(表3)。一方、飼養頭数は繁殖基盤の強化が図られたことから増加傾向にあり、260万4000頭(同1.9%増)となった(図21)。この結果、肉用牛の1戸当たり飼養頭数は、前年から3.7頭増加して61.9頭となり、大規模化が進んでいることが分かる。
肉用牛は、肉用種および乳用種
(注1)に大別され、飼養頭数のうち7割が肉用種(182万9000頭、前年比2.1%増)、3割が乳用種(77万5200頭、同1.5%増)となった(図22)。
(注1)「畜産統計」では、肉用牛の乳用種とは、ホルスタイン種、ジャージー種などの乳用種のうち、肉用を目的に飼養している牛で、交雑種を含むと定義されている。
さらに肉用種の内訳を見ると、子取り用めす牛が前年比1.7%増の63万2800頭(全体に占める割合は24%)、育成牛が同3.0%増の39万6600頭(同15%)、肥育用牛が同1.9%増の79万9400頭(同31%)といずれも増加した。平成27年まで5年連続して減少していた子取り用めす牛は28年に増加に転じ、繁殖基盤の強化が図られている。また、乳用牛への受精卵移植による和子牛の生産拡大なども、育成牛および肥育牛の増加につながっている。
乳用種の内訳を見ると、交雑種が前年比6.1%増の52万5700頭(全体に占める割合は20%)、ホルスタイン種ほかが同6.9%減の24万9400頭(同10%)となった。
「200頭以上」の階層で肉用牛飼養頭数全体の約6割
肉用牛の総飼養頭数規模別に見ると、飼養戸数は、1〜4頭(前年比9.3%減)、5〜9頭(同7.1%減)、10〜19頭(同3.7%減)、20〜29頭(同3.2%減)の4階層はいずれも前年を下回ったのに対し、30〜49頭(同2.7%増)、50〜99頭(同0.8%増)、100〜199頭(同1.4%増)、200〜499頭(同1.4%増)、500頭以上(同2.8%増)の5階層はいずれも前年を上回った(図23)。飼養頭数の少ない層は減少、多い層では増加したことから、大規模化の進展がうかがえる。
階層別に見ると、1〜4頭の階層が最も多く9700戸、次いで5〜9頭が8260戸、10〜19頭が7770戸となった。なお、全体に占める割合は、1〜4頭が23%、5〜9頭が20%、10〜19頭が18%であり、3階層の合計は全体の61%となり前年から2ポイント減少した。
また、全体の2%を占める500頭以上の階層は764戸、同3%を占める200〜499頭の階層は1420戸となり、全体に占める割合はともに前年並みとなった。
肉用牛の総飼養頭数規模別に見ると、飼養頭数は、飼養戸数と同様に、1〜4頭(前年比9.1%減)、5〜9頭(同6.6%減)、10〜19頭(同3.1%減)、20〜29頭(同2.9%減)の4階層はいずれも前年を下回ったのに対し、30〜49頭(同2.9%増)、50〜99頭(同1.3%増)、100〜199頭(同1.4%増)、200〜499頭(同1.9%増)、500頭以上(同3.9%増)の5階層はいずれも前年を上回った(図24)。
階層別に見ると、500頭以上の階層が最も多く、飼養頭数全体の42%を占める108万3000頭、次いで200〜499頭の階層が全体の17%を占める44万5000頭となった。200頭以上の飼養規模での頭数は全体の59%と前年を1ポイント上回り、大規模経営で多くの肉用牛が飼養されていることが分かる。
(畜産振興部 前田 絵梨)