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海外の需給動向【牛肉/NZ】 畜産の情報 2021年9月号

2021年6月の牛肉の輸出量、輸出額ともに好調に推移

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2020/21年度の牛と畜頭数、前年増で推移
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2020/21年度(10月〜翌9月)の牛と畜頭数は、21年5月までの累計で前年同期比6.3%増の212万頭とかなりの程度増加している(図4)。増加の要因についてStats NZは、20年1〜5月にかけての干ばつの発生や21年も同様の事態が懸念されたことで生産者が家畜を早期に出荷したことを挙げている。特に出荷が多かった20年10〜12月のと畜頭数を見ると、前年同期比9.2%増の64万頭と四半期実績としては過去最大となった。
 

  同期間(20年10月〜21年5月)のと畜頭数の内訳を見ると、去勢牛(48万頭、前年同期比17.1%増)、雄牛(47万頭、同2.7%増)および未経産牛(41万頭、同18.6%増)が増加した一方、経産牛(75万頭、同2.8%減)のうち、乳用種は、生産者乳価が高い水準で推移したことで酪農部門での保留傾向が強まり、前年同期をわずかに下回った。

2021年6月の牛肉輸出量、中国向けは前年同月比51.5%増の大幅な増加
 Stats NZによると、2020/21年度の牛肉輸出量は、21年6月までの累計で38万2820トン(前年同期比4.1%増)とやや増加している(表5)。うち、冷蔵牛肉が3万85トン(同12.7%増)、冷凍牛肉が35万1884トン(同3.2%増)と冷蔵牛肉の伸びが目立っている。
 

  輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは15万3343トン(同5.9%増)とやや増加した。一方、米国向けは12万8013トン(同11.6%減)とかなり大きく減少した。これは、18年8月に中国で発生したアフリカ豚熱による豚肉供給の減少から牛肉需要が高まったことで、米国などに輸出されていた牛肉の一部が中国に仕向けられていることが背景にあるとみられる。米国農務省(USDA)によると、中国向けおよび米国向けの牛肉輸出量は、過去2年間の傾向を維持し、引き続きニュージーランド(NZ)の牛肉輸出量全体の70%以上を占めることになると予測されている。
 21年6月単月の実績を見ると、輸出量は5万1399トン(前年同月比8.5%増)とかなりの程度増加した。このうち、米国向けは1万6793トン(同24.1%減)、カナダ向けは295トン(同77.3%減)といずれも大幅に減少したものの、最大の輸出先である中国向けが2万678トン(同51.5%増)と大幅に増加している。また、日本向けも3903トン(同68.5%増)と大幅に増加した。これは、牛群再構築に伴う豪州産の生産量の減少による相場の高騰などにより、NZ産の引き合いが強まったためとみられる。
 Stats NZによると、21年6月のNZの総輸出額が過去最高を記録したとされている(注)。このうち、牛肉は前年同月比8%増の4億1100万NZドル(324億6900万円:1NZドル=79円)と単月実績で最高値を記録した。豪州での牛群再構築に伴う牛肉供給量の減少からNZ産牛肉への需要が高まっていることに加え、21年に入り、米ドルに対しNZドル安で推移している為替相場も輸出額を押し上げる一因になったとみられる。

(注)海外情報「2021年6月の牛肉輸出額、過去最高値を記録(NZ)」
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003015.html)を参照されたい。
(調査情報部 廣田 李花子)