ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > SDGsに貢献する、食品リサイクルの最前線〜日本フードエコロジーセンターを事例に〜
食品ロス削減はわれわれ人類に課せられた大きな課題である。特にわが国は、トウモロコシの世界最大の輸入国であり、膨大な量の穀類を輸入し、他国では食料となりうる穀類を飼料として利用している。そのような背景からもわが国は食品ロス削減に向けた取り組みをいっそう推進する必要がある。エコフィードは食品ロス削減に有効な手段であり、日本のエコフィードの取り組みは世界をリードしていると言っても過言ではない。その技術や仕組みの革新を最先端で進めているのがJFECといえる。
飼料用穀類の国際価格が比較的低く安定していた時期に、経営の観点からエコフィードを使わなくなった農場もある。また、豚熱やアフリカ豚熱対策のため、飼料原料となる食品残さの物流が止まったり、2021年4月に加熱基準が厳格化されたためにエコフィードの生産をとりやめた事業所もある。
しかしながら、エコフィードとして利用できる資源はまだまだ存在している。JFECのエコフィード生産モデルは環境影響が小さく、経営的にも優れていると考えられている。リキッド飼料は水分が多いため、その搬送距離をいかに短くするかが課題の一つである。また、加熱基準の厳格化により、加熱に要する費用も課題となる。加熱すべき原料とそうでないものとの分別を徹底することで、加熱に要する費用や労力を削減するとともに、交差汚染を防ぐことも重要である。改良したシステムを複数の地方の主要都市に配置し、重要な社会基盤の一つとして機能させていくことが望まれる。そしてこのことがポストコロナにおける資源循環を基盤とした地方創成の歯車の一つになることが期待され、このような枠組みを増やすことで、世界に向けたモデルとしても示していただきたい。
謝辞
本稿を作成するに当たり、株式会社日本フードエコロジーセンター 代表取締役 高橋巧一様、株式会社あずみ野エコファーム 専務取締役 川上弾様に多大なご協力を賜りました。この場を借りて感謝の意を申し上げます。
参考文献
Broeze J. et al. (2020) Circular Eco-feed chain for responsible pork consumption and production at
Curaçao. Wageningen. http://edepot.wur.nl/515344 (Accessed 16 September 2020)
川島知之, 石橋晃 (2015) 飼料学(127)畜産の研究 69(10) 963-968
Refresh (2019) Technical Guidelines Animal Feed. https://eu-refresh.org/technical-guidelines
-animal-feed (Accessed 16 September 2020)