ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 2021/22年度の生乳生産量、3年ぶりに前年度より増加
2020/21年度の生乳生産量はわずかに増加
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2020/21年度(7月〜翌6月)の最終月となる21年6月の生乳生産量は、酪農主産地であるビクトリア州およびタスマニア州がいずれも減少したことを受け、62万1386キロリットル(64万28トン相当)と前年同月よりわずかに減少した(前年同月比1.1%減、表13、図24)。
この結果、20/21年度の累計生乳生産量(注1)は前年度比0.6%増の885万3287キロリットル(911万8885トン相当)となり、DAが3月に発表した同年度の生乳生産量見込み「−1%から1%の間」(注2)と合致した結果となった(図25)。なお、豪州の生乳生産量が前年度より増加するのは3年ぶりである。
(注1)海外情報「2020/21年度の生乳生産、3年ぶりに増加(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003042.html)を参照されたい。
(注2)『畜産の情報』2021年6月号「乳製品輸出量、主要4品目いずれも前年同月を上回る」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001670.html)を参照されたい。
今後の生乳生産見通しについては、DAが21/22年度はわずかに増加する(20/21年度比で0〜2%増)との見込みを公表(注3)している。また、米国農務省(USDA)も、7月16日に発表した「Dairy:World Markests and Trade」で、2021年(1〜12月)の豪州の生乳生産量を、前年よりわずかに増加すると見込んでいるものの、前回公表(20年12月18日)の940万トン(20年比3%増)から920万トン(同1%増)に2ポイント下方修正した。これについてUSDAは、堅調な乳価に後押しされ、本来であれば増産が期待されるところ、記録的な肉牛価格の高騰に伴い、一部の酪農生産者が肉用牛生産への転換を図るなど頭数規模の縮小が見られていることを要因として挙げている。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う入国制限による労働力不足なども生乳生産の拡大を阻害する要因とみている。
(注3)海外情報「2021/22年度の生乳生産見通し、収益は改善も生産は伸び悩み(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002999.html)を参照されたい。
20/21年度の乳製品輸出はおおむね好調
DAが発表した2021年6月の主要乳製品4品目の輸出量は、脱脂粉乳とチーズは前年同月より大幅に減少した一方、全粉乳とバターおよびバターオイルは大幅に増加した(表14、図26)。また、2020/21年度累計(7月〜翌6月)では、絶対量は少ないものの、バターおよびバターオイルが前年度比2倍を超える輸出量となった。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、中国をはじめとしたアジア向け輸出の減少などを受け、6月単月では6489トンと前年同月から半減した(前年同月比47.7%減)が、年度累計では12万3415トンとかなり大きく増加した(前年度比14.7%増)。これは、中国向け輸出の伸びなどにより、単月実績としては直近5カ年度の中で4番目に高い水準となった2月の輸出量(1万7324トン、前年同月比94.3%増)がけん引した結果といえる。バターおよびバターオイルは、6月単月では1850トンと大幅に増加し(同30.5%)、年度累計でも、中国をはじめとしたアジア向け輸出の伸びなどを反映して前年比約2.1倍の2万3909トンと倍増した。この結果、20/21年度は、直近5カ年度で初めて、年度内すべての月で前年同月の実績を上回った。
(調査情報部 阿南 小有里)