牛枝肉重量、4カ月連続で前年同月を下回る
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が毎月更新する「Livestock & Meat Domestic Data」によると、2021年8月の牛肉生産量は107万2000トン(前年同月比1.3%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。同月の1頭当たり枝肉重量は後述の通り前年同月を下回ったものの、と畜場の稼働日数が前年同月より1日多く、と畜頭数が前年同月比2.9%増となったことが増加の要因として挙げられる。
8月の1頭当たり枝肉重量は、373キログラム(同1.8%減)と4カ月連続で前年同月を下回った(図2)。これは、1頭当たり枝肉重量は季節的に増加傾向にあるものの、飼料コスト高により早期出荷が比較的積極的に行われていること、また昨年は食肉処理場の稼働率低下でフィードロットの滞留期間が長期化して増加していたためとされている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大前の19年の水準をわずかに上回っている。
好調な需要で牛肉在庫は低水準
USDAが9月22日に発表した「Cold Storage」によると、国内の外食需要の回復に加え、2020年3月以降、中国で発動された米国産牛肉などに対する追加関税分の免税措置などによって中国向けの輸出が増加し続けていることなどから、8月の牛肉在庫は19万1000トン(前年同月比7.7%減)と3カ月連続で前年同月を下回った(図3)。牛肉在庫は例年、夏場の需要期が過ぎると増加傾向で推移するが、21年は牛肉価格の記録的な高値が示す通り好調な需要から、例年ほど在庫の積み増しが進んでいない状況となっている。
7月の牛肉輸出量、中国向けの増加で前年同月比18.1%増
USDA/ERSの「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2021年7月の牛肉輸出量は13万4900トン(前年同月比18.1%増)と引き続き記録的な高水準で推移しており、1〜7月の累計では89万1900トン(前年同期比20.8%増)となった(表1、図4)。
7月の牛肉輸出量を主要輸出先別に見ると、中国、メキシコを除く主要輸出先向けは前年同月を下回った。
最大輸出先である日本向けは、飲食店の時短営業や酒類の提供自粛などで外食需要は伸び悩み、前年同月比3.7%減となったものの、小売需要などの底堅い需要があった。2番手の韓国向けは同0.9%減となったものの1〜7月の累計では前年同期比23.2%増と過去最高を更新するペースで推移している。この2大輸出先に接近する中国向けは、現地の好調な需要を背景に記録的な輸出水準が続いており、前年同月比8.2倍となった。4番手のメキシコ向けについては、同国の経済停滞や米ドルに対するメキシコペソ安が落ち着いてきたことから、同32.7%増となった。
(調査情報部 河村 侑紀)