畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 2021年上半期の豚肉生産量は前年同期比4.2%増

海外の需給動向【豚肉/EU】 畜産の情報 2021年11月号

2021年上半期の豚肉生産量は前年同期比4.2%増

印刷ページ

6月の豚肉生産量は前年同月比1.2%増
 欧州委員会によると、2021年6月の豚肉生産量(EU27カ国)は、1頭当たり枝肉重量が前年同月比0.5%減の93.2キログラムとなったものの、と畜頭数が同1.8%増の2030万頭となったことから、同1.2%増の189万1630トンとなった(図12)。
 この結果、上半期(1〜6月)の豚肉生産量は、前年同期比4.2%増の1179万7580トンとなった(表5)。主要生産国別に見ると、輸出が堅調なスペイン、デンマーク、オランダなどが前年同期を上回った。一方で、ドイツは、昨年9月に野生イノシシでアフリカ豚熱の発生が確認されて以来、主要輸出先であった中国などアジア諸国を中心に輸入停止措置が続いていることから、主要生産国の中で唯一、前年同期を下回った。
 


 


豚肉輸出量は中国向けが3カ月連続で前年同月を下回る
 欧州委員会によると、2021年6月のEU域外への豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU27カ国)は、前年同月比3.1%減の26万9834トンと18年12月以来、29カ月ぶりに前年同月をやや下回った(表6)。
 主要輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けが同25.7%減と3カ月連続で前年同月を下回った。同国向けは、上半期前半の輸出量が前年同期を上回り、EU域外向け輸出量の増加をけん引していたものの、同国内の豚肉供給量の回復もあり、輸出需要には陰りが見え始めている。
 一方で、アフリカ豚熱の発生により供給不足が続いているフィリピン向け、ベトナム向けは、上半期の輸出量がそれぞれ前年同期比約4倍と大幅に増加している。
 主要輸出国別の推移を見ると、ドイツは前述の理由から上半期の輸出量が同52.8%減と大幅に下回った(表7)。現地情報によると、ドイツは中国に対して地域主義(注1)の適用を求めているものの、交渉は難航しており、いまだに輸入停止措置が続いている。その結果、他の主要輸出国がドイツの代替国として中国向けを中心に輸出量を大幅に増やしたとみられる。
 

(注1)地域主義とは、疾病発生国であっても、清浄性(当該疾病が発生していないこと)が確認できる地域からの輸入であれば認めるもの。





2021年のオランダの豚飼養頭数は、前年を4.3%下回る
 2021年のオランダの豚飼養頭数は、前年比4.3%減の1143万8381頭となった(図13)。近年、1200万頭台で推移してきたオランダの豚飼養頭数は、2年連続でこれを下回っている。また、養豚生産者数も減少傾向で推移しており、21年は同4.4%減(同156戸減)の3401戸と11年の約半数にまで減少している。一方、1戸当たり飼養頭数は年々増加傾向で推移し、11年から20年にかけて約1.8倍となったものの、21年は同0.1%増の3363頭と前年並みとなった。
 オランダ中央統計局によると、豚飼養頭数および養豚生産者の減少は、養豚生産者への廃業支援策の影響もあるとしている(注2)
 

(注2)海外情報「オランダ政府による養豚生産者への廃業支援策で278戸が廃業へ(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002991.html)を参照されたい。



(調査情報部 小林 智也)