1 令和3年9月の牛肉生産量は、2万6717トン(前年同月比1.5%減)と前年同月をわずかに下回った(図1)。品種別では、和牛は1万2390トン(同2.4%減)、乳用種は7275トン(同2.1%減)と、ともに前年同月をわずかに下回った。一方で、交雑種は6605トン(同1.1%増)と前年同月をわずかに上回った。
なお、過去5カ年の9月の平均生産量との比較では、1.7%増とわずかに上回る結果となった。
2 9月の輸入量は、冷蔵品は、前年同月の輸入量が北米工場の作業効率の低下および豪州の干ばつ後の牛群再構築による生産量減少に伴う現地価格の高騰などにより少なかったことなどから、2万4377トン(同33.3%増)と前年同月を大幅に上回った(図2)。冷凍品は、米国産および豪州産の現地価格の高騰などによる輸入量の減少分を他国産の冷凍品で補う動きがあったことから、2万6164トン(同0.8%増)と前年同月をわずかに上回った(図3)。この結果、全体では5万566トン(同14.3%増)と前年同月をかなり大きく上回った。
なお、過去5カ年の9月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は16.2%増と大幅に上回った一方、冷凍品は9.8%減とかなりの程度下回る結果となった。
3 9月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は172グラム(同3.9%減)と前年同月をやや下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の9月の平均消費量との比較では、0.5%減とわずかに下回る結果となった。
また、外食産業全体の売上高(同8.2%減)は、引き続き三大都市圏などへの緊急事態宣言および全国各地へのまん延防止等重点措置が適用され、営業時間の短縮や酒類提供の自粛の要請により、店舗休業を余儀なくされたところもあり、前年同月をかなりの程度下回る結果となった(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフード洋風は、テイクアウト、デリバリー需要が堅調だったことや、店舗への来店客数も増加したことから、同15.7%増と前年同月をかなり大きく上回った。一方、牛丼店を含むファーストフード和風は、季節商品などの販売が好調だったものの、営業時間の短縮などにより客数が減少したことから、同1.3%減と前年同月をわずかに下回った。また、焼き肉は、緊急事態宣言などによる時短営業や酒類提供の自粛の影響が続き、同29.6%減と前年同月を大幅に下回った。
4 9月の推定期末在庫は、14万2769トン(同5.0%増)と前年同月をやや上回った(図4)。このうち、輸入品は12万8479トン(同2.6%増)と前年同月をわずかに上回った。
推定出回り量は、6万8549トン(同11.4%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図5)。このうち、国産品は2万5371トン(同2.7%減)とわずかに、輸入品は4万3178トン(同15.8%減)とかなり大きく、いずれも前年同月を下回った。
(畜産振興部 今岡 峻人)