例年以上の降雨により、生乳生産量は3カ月連続減
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2021年10月の生乳生産量は、313万3000トン(前年同月比3.3%減)とやや減少し、3カ月連続で前年同月を下回った(図1)。現地報道によると、例年に比べて降雨が多く、土壌の水分過多から牧草の生育に影響が生じたことで、生乳生産量の減少につながったとされる。
また、今後の生乳生産量についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、土壌の水分過多が11月の生乳生産を圧迫し、年内は前年同月割れが続く可能性があるとし、さらに、今後もラニーニャ現象による多雨により牧草の生育不順が続くことで、今シーズンの酪農生産はさらに厳しいものになると予測している。
10月の乳製品輸出量、脱脂粉乳とチーズは前年同月比増
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2021年10月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳とチーズが前年同月を上回ったものの、全粉乳とバターおよびバターオイルは前年同月を下回った(表1、図2)。
脱脂粉乳は、最大の輸出先である中国向けのほか、東南アジア向けも好調を維持し、全体ではかなり大きな増加となった。チーズは、主要輸出先である中国向けのほか、日本や韓国、豪州向けが前年同月を大幅に上回ったことから、全体でも大幅に増加した。
一方、全粉乳は、中国向けが前年同月を大幅に上回った一方、東南アジアやアフリカ向けなどが落ち込んだことで、全体ではわずかに減少した。バターおよびバターオイルは、エジプト向けが第2位の輸出量になったほか、日本向けなども大幅に増加した。一方で、最大の輸出先である中国向けが前年同月を下回ったことで、全体ではかなり大きく減少した。
GDT、チーズが2014年1月以来の5000ドル台
2021年11月16日に開催されたグローバルデイリートレード(GDT:月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされる)の1トン当たり平均取引価格は、主要4品目すべてで前回開催(同年11月2日)時より上昇した(表2、図3)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、北アジア
(注)、EU、中東からの需要にけん引され、1トン当たり3676米ドル(42万3000円、前回比1.4%高)と前回をわずかに上回った。全粉乳は、東南アジアからの需要が落ち着く中で、北アジアからの旺盛な需要にけん引され、同3987米ドル(45万9000円、同1.7%高)と全体としてはわずかに上昇した。バターは、北アジアのほか中東や北米からの需要が強く、同5534米ドル(63万6000円、同3.4%高)と前回をやや上回った。チーズは、東南アジアを中心にアフリカ、中東からの需要にけん引され、同5162米ドル(59万4000円、同2.1%高)と、14年1月以来の5000ドル超えとなった。
(注)ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 廣田 李花子)