2021年の大豆の生産状況については、9月に南部での収穫が終了し、10月に入り主産地である東北部での収穫が終盤を迎えているが、全体的には前年を上回るとみられている。一方で、国産の大豆価格は、生産増から短期的には下落傾向との予測も出ていたが、農家からの出荷が減少してきたことで、若干の上昇を見せている(図)。
大豆主産地の一つである東北部の黒竜江省の搾油用向け大豆平均取引価格は、10月が1キログラム当たり4.88元(88円、前年同月比15.7%高)、同じく食用向け同価格は同5.84元(106円、同27.3%高)と前年に比べて高い水準にある。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.14元(111円、同15.0%高)と同じく高い水準にある。
国産大豆価格の上昇を受けて、下落基調にある輸入大豆との価格差は10月が1キログラム当たり1.60元(29円)と前月よりわずかに広がった。今後の見通しについて同分析月報では、国産の供給量が減少する中で、積極的な買い付けが行われていることから、国産大豆価格は引き続き高水準で推移するとしている。
このような中で、中国の大豆輸入量は引き続き高い水準にある。21年1〜9月の大豆輸入量は7399万トン(前年同期比0.7%減)と前年並みを維持しており、同輸入額も穀物価格の上昇を反映し前年同期比39.4%増の401億米ドル(4兆6023億円:1米ドル=114.77円
(注))と報告されている。主な輸入先は、ブラジル(輸入量の66.2%)、米国(同29.5%)、アルゼンチン(同2.0%)となった。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2021年11月末日TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)