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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2022年2月号

官民一丸の対応により年末年始の処理不可能乳の発生を回避

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令和3年11月の生乳生産量、前年同月比3.4%増
 令和3年11月の全国の生乳生産量は、61万4100トン(前年同月比3.4%増)となり、地域別に見ると、北海道は34万6980トン(同4.4%増)、都府県は26万7120トン(同2.2%増)といずれも堅調に推移した(図1、農林水産省「牛乳乳製品統計」)。


 用途別処理量については、牛乳等向けが32万4951トン(同1.6%減)、乳製品向けが28万4999トン(同9.8%増)となった。乳製品向けの内訳は、脱脂粉乳・バター等向けが13万7009トン(同13.7%増)、チーズ向けが3万4448トン(同4.6%増)、クリーム等向けが11万1212トン(同6.4%増)となっている(農林水産省「牛乳乳製品統計」、農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。

令和2年度のLL牛乳の生産量、前年度比20.4%減も輸出は好調
 農林水産省が11月に公表した「LL(ロングライフ)牛乳等の生産量の推移」によると、令和2年度のLL牛乳生産量は4万3253キロリットル(前年度比20.4%減)と、前年度から大幅に減少した。内容量別に見ると、125〜200ccでは1万3202キロリットル(同3.0%減)、500〜1000ccでは3万51キロリットル(同26.2%減)と特に大型容器での生産量が大幅に減少しており、LL牛乳全体の生産量減少につながっている(図2)。

 
 LL牛乳は常温でも長期間保存可能であり、遠隔地向けや自動販売機にて販売される他、香港やシンガポールなど東アジア・東南アジア向けへの輸出が旺盛である(財務省「貿易統計」)。輸出向けの割合はいまだ20%未満と高くはないものの、2年度も牛乳の輸出量・輸出向け割合は増加しており、輸出量については前年度から25%以上の伸長が見られる(図3)。


関係各所の働きかけにより年末年始の生乳廃棄を回避
 令和3年から4年にかけての年末年始に懸念された生乳廃棄は、乳業・酪農関係各所の取り組みにより回避された。
 COVID-19拡大に伴う飲食店の時短営業や巣ごもり需要の一服により飲用牛乳などの業務用需要が落ち込んでいる一方で、今年度は夏〜秋にかけて例年の気温を下回っており、生乳の生産量が好調に推移した。こうした異例の状況に加え、もとより冬場は生乳生産量が増加するのに対して、学校給食の停止などから飲用需要が落ち込む需給構造になっている。牛乳等に仕向けられない生乳は保存の利くバターや脱脂粉乳に仕向けられるものの、その在庫量はコロナ禍により類を見ないほどに積み増しており、飲用牛乳としての消費や生産者による出荷抑制などが求められた。
 乳業団体や農林水産省の「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」による消費拡大運動、生産者の一時的な出荷抑制、乳業メーカーが年末年始も工場を稼働しバターなどの増産など、官民一丸となった業界の対応が生乳廃棄の回避に奏功した。また、小売店においても牛乳消費拡大に関する各種キャンペーンが行われ、消費拡大運動が広く実施されることとなった。

令和4年度の畜産物価格は単価・数量ともに据え置き
 令和3年12月24日に開催された「食料・農業・農村政策審議会」において、4年度の畜産物価格などの算定について諮問・答申が行われ、同価格などが決定した(表)。加工原料乳生産者補給金単価は1キログラム当たり8.26円、集送乳調整金単価は同2.59円と、いずれも前年度と同じ結果となった。また、総交付対象数量についても345万トンに据え置かれた。

 
 (酪農乳業部 古角 太進)