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海外の需給動向【豚肉/米国】 畜産の情報  2022年2月号

豚肉生産量、2022年前半はタイトとなる見通し

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豚の飼養頭数、前年比4.0%減  
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)の「Hogs and Pigs」(四半期報告)によると、2021年12月1日時点の豚総飼養頭数は、繁殖豚頭数が前年並みながらも肥育豚頭数の減少から、7420万1000頭(前年比4.0%減)となった(表1)。また、9〜11月期の1腹当たりの産子数は11.19頭と前年をわずかに上回ったものの、分娩母豚頭数が減少したことから産子数も減少した。これにより、当面、肥育豚頭数の増加は見込めないものとなる。
 豚肉需要は堅調であるものの、母豚価格の上昇で生産者は繁殖豚を導入しにくい状況にあることから、20年6月以降、豚の飼養頭数はおおむね前年を下回って推移している。肥育豚を重量別に見ると、特に1頭当たり120ポンド(54キログラム)を超える肥育豚の減少幅が大きいことから、22年第1四半期の豚肉供給は引き続きタイトになると見込まれ、同期間の豚肉価格は堅調に推移すると思われる。また、1腹当たりの産子数は、21年の初めに養豚産業が盛んな中西部の北部の州で豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)が発生していたことなどから減少していたが、生産者のPRRS対策により正常な生産環境に改善したことなどから、増加に転じたとみられている。
 

 
 

 11月の豚肉卸売価格、引き続き高水準で推移  
 米国農務省農業マーケティング局(USDA/ AMS)によると、2021年11月の豚肉卸売価格は100ポンド当たり93米ドル(1キログラム当たり238円:1米ドル=116円(注1)、前年同月比14.6%高)と14カ月連続で前年同月を上回った(図1)。同価格は、中国向け輸出の大幅な減少により、やや軟化傾向にあるものの、豚肉生産量の減少などから依然として高水準で推移している。 
  このような状況下で米国大統領行政府は、直近の豚肉を含む食肉価格の高騰について、大手食肉パッカーを批判している(注2)。これに対して食肉団体などは強く反発しており、今後の展開が注目されている。

(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2021年12月末TTS相場。

(注2)海外情報「米政権、大手食肉会社の価格引き上げを批判(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003132.html)を参照されたい。
 


 

豚肉輸出量、メキシコ向けが増加する一方、中国向けの減少が続く  
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)の「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2021年10月の豚肉輸出量は24万5300トン(前年同月比8.4%減)と前年同月をかなりの程度下回り、同年1〜10月の累計では268万4600トン(前年同期比1.5%減)となった(表2、図2)。 
  10月の豚肉輸出量を主要輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは、引き続き同国の経済回復に伴い豚肉需要が好調を維持していることなどから、前年同月比5割増と大幅に増加した。一方、中国向けは、同国内の豚肉生産量の回復に伴い6月以降は減少に転じており、同約6割減と大幅に減少した。日本、韓国向けは、好調な小売需要を背景に冷蔵品が増加傾向となっている一方、業務需要の多い冷凍品が減少している。





 (調査情報部 河村 侑紀)