ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 生乳生産量、前年同月を6カ月連続で下回る
長雨による牧草生育への影響から、生乳生産量は低迷
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2021年11月の生乳生産量は89万7632キロリットル(92万4600トン相当、前年同月比0.8%減)となり、6カ月連続で前年同月を下回った(図1)。これは、ラニーニャ現象の発生に伴う長雨により、牧草の生育に影響が生じたことが一因とみられている。このためDAは、今シーズンの生乳生産は前年度を上回る可能性は低いと見込んでいる。また、乳業間での生乳の獲得競争が高まることでさらなる生産者支払乳価の引き上げも見込まれており、酪農家の収益性は引き続き良好な状態を持続するとの見込みを示している(注)。
(注)海外情報「生乳生産量は減少も、酪農家の収益性は良好との見通し(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003146.html)を参照されたい。
また、2021/22年度(7月〜翌6月)の11月までの累計生乳生産量は、398万1000キロリットル(410万トン相当、前年同期比2.4%減)と前年同期をわずかに下回った(表1)。
生乳生産量を州別に見ると、酪農主産地であるビクトリア(VIC)州西部やタスマニア(TAS)州などで減少している。この要因としてDAは、特にこれらの地域では、例年に比べて降雨量が多く、強風や冷涼な天候の影響によりサイレージ用の牧草の収穫が遅れているほか、飼料の質の低下により牛1頭当たりの乳量が減少していることが要因であるとしている。また、大麦や小麦など冬作物の収穫時期である春(9〜11月)に例年以上の降雨があったことで収穫がずれこみ、飼料向け穀物の保存にも影響が生じているとしている。さらに、干し草やかんがい用水の確保はできているものの、飼料穀物価格など生産コストが上昇傾向にあるほか、COVID-19の影響に伴う国境の封鎖などによる、労働力や機械設備などの調達の遅れも課題になっているとしている。
全粉乳を除く、主要乳製品3品目の輸出量が前年同月比で減少
DAが発表した2021年10月の主要乳製品4品目の輸出量は、全粉乳を除きいずれも減少した(表2、図2)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、インドネシアやタイなど東南アジア向けが増加した一方、中国向けが減少したことから8136トン(前年同月比6.1%減)と前年同月を下回った。また、21/22年度10月までの累計(累計期間は以下同じ)では3万2279トン(前年同期比5.2%増)とやや増加している。
全粉乳は、中国や東南アジア向けが増加したことから4383トン(前年同月比10.7%増)と1カ月ぶりに増加に転じた。また、累計では1万3442トン(前年同期比35.2%増)と大幅に増加している。
一方、バターおよびバターオイルは、中国向けの減少などから1678トン(前年同月比1.1%減)とわずかに減少した。また、累計では7403トン(前年同期比3.6%減)とやや減少している。
チーズは、主要輸出先である韓国向けの減少などから1万2039トン(前年同月比11.0%減)と前年同月をかなり大きく下回った。また、累計では4万6897トン(前年同期比6.0%増)とかなりの程度増加している。
(調査情報部 廣田 李花子)