ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月9日、2021/22年度第3回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量は作付面積の増加、単収の回復により増加の見込み
2021/22年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回より47万トン上方修正され、1億1718万1500トン(前年度比34.6%増)と前年度を大幅に上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった2019/20年度の記録を更新すると見込まれている。
全生産量の4分の1程度を占める第1期作トウモロコシは、作付面積の75.5%(11月末時点)で
播種が行われた。生産量は、前回より46万5400トン上方修正され、2906万6000トン(同17.6%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは、好調な市場価格を背景に作付面積が増加(同3.7%増)するとともに、前年度落ち込んだ単収の回復(同13.4%増)も見込まれるためである。一方、第1期作トウモロコシの最大の生産地である南部では、いずれの州でも11月に降水量不足となっており、特にリオグランデドスル州では、今後の作物への影響が懸念されている。
また、全体の4分の3程度を占める第2期作も第1期作と同様に作付面積および単収が増加し、生産量は8625万9100トン(同42.0%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。
21/22年度のトウモロコシ需給動向を見ると、輸出量は生産量の増加や米ドルに対するレアル安により3668万トン(前年度比91.0%増)と前年度から大幅な回復が見込まれている。また、消費量は、20/21年度に続き家畜飼料向けやエタノール生産向けの需要が堅調であることから、7681万7500トン(同6.2%増)と前年度をかなりの程度上回るとされている。
大豆の播種は作付面積の9割が終了
2021/22年度の大豆生産量は、前回より78万トン上方修正され、1億4278万9900トン(前年度比4.0%増)と前年度をやや上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった前年度の記録を更新すると見込まれている。これは、好調な市場価格を背景に作付面積が前年度より同3.7%増加するとともに、南部地域の一部を除き天候に恵まれ、11月末時点で作付面積の91.5%で播種が行われたためである。
最大の生産地である中西部のマットグロッソ州では、十分な降水量と播種に適した天候に恵まれたことで、すでに播種は終了している。20/21年度は降雨の遅れなど天候に恵まれず播種作業が遅れた結果、収穫後の第2期作トウモロコシの播種作業などに影響を及ぼした。21/22年度は播種作業の遅れがないことから、12月末に最初の収穫作業が始まり、1月に作業が集中するとみられている。
21/22年度の大豆需給動向を見ると、輸出量は生産量が増加することから9067万2000トン(前年度比5.7%増)と前年度を上回ると見込まれている。また、加工量は前年度並みとしているものの、22年はバイオディーゼルの混合比率が10%(20年の平均混合比率は11%)に引き下げられることから、大豆油の国内消費量は減少すると見込まれている。
(調査情報部 井田 俊二)