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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2022年3月号

令和4年度の輸入枠数量が決定

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北海道・都府県とも生乳生産量は堅調に推移
 令和3年12月の全国の生乳生産量は、64万5637トン(前年同月比3.8%増)と前年同月をやや上回った(図1)。地域別に見ると、北海道は36万6160トン(同5.2%増)、都府県は27万9477トン(同2.0%増)といずれも10カ月連続で前年同月を上回っている(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
 結果として3年(1〜12月)の生乳生産量は、北海道が426万5038トン(前年比2.7%増)、都府県は332万6458トン(同1.3%増)となり、全国では759万1496トン(同2.1%増)となった。


 バター在庫量は高水準ながらも徐々に減少
 当機構が国内メーカーなど13社を対象に実施している「形態別バターの需給量」調査によると、令和3年のバターの在庫量は前年同様8月末に4万323トンと最高水準となったが、その後は減少し、バターの最需要期である12月末は3万5589トン(前年同月比6.6%増)となった(図2)。

 
 
 形態別に見ると、製菓・製パンなどの業務用に充てられるバラ(1個当たり20〜25キログラム)は、2万2637トン(同17.3%増)と前年同月を大幅に上回った。内訳は、国産が2万2153トン(同31.0%増)と前年同月を大幅に上回った一方、外国産は483トン(同79.7%減)と前年同月を大幅に下回った。国産がバラ全体の約97%を占め、前年同月の87%から10ポイント増加した。同じく業務用で、外食や小売りも行う街中の洋菓子店等向けの小物(1個当たり1〜5キログラム)においても同様の内訳となっている。小物全体の在庫量の1万1104トン(同9.9%減)のうち、国産が1万859トン(同7.6%減)と、前年同月をかなりの程度下回っているものの、小物全体の約97%を占め、前年の95%から2ポイント増加した。
 令和2年度以降新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、インバウンドや外食が大幅に減少したことから、乳製品の業務用需要や飲用需要が大幅に低下した一方で、生乳生産量も増加傾向にあったため、余剰生乳は保存が利くバターや脱脂粉乳に仕向けられ、それらの在庫が大きく積み増した。このような状況に加えて国産価格の下落と海外相場の高騰による内外価格差の縮小なども影響し、輸入品の割合が大幅に減少している。
 
生乳生産量は全国で4年連続増加の見通しの一方、都府県では減少見込み

 一般社団法人Jミルクは令和4年1月28日、「2022年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」を公表した(表)。これによると、4年度の生乳生産量は771万トン(前年度比0.8%増)と4年連続の増加を見込んでいる。地域別に見ると、北海道では主力となる2〜4歳や5歳以上の乳用雌牛頭数が3年度を上回って推移する見通しなどから、439万7000トン(同2.0%増)と6年連続で増加する見込みである一方で、都府県では、同乳用雌牛頭数が減少に転じる見通しにあることなどから331万3000トン(同0.8%減)を見込んでいる。
 生乳の用途別処理量については、飲用等向けが405万4000トン(同0.6%増)、乳製品向けが360万6000トン(同0.9%増)と、いずれもわずかに増加するものと見込んでいる。乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けは189万5000トン(同0.5%増)と前年度をわずかに上回り、また、チーズ向けおよび生クリーム等向けは、それぞれ44万2000トン(同1.1%増)、127万トン(同1.5%増)とわずかな増加を見込んでいる。


令和4年度の輸入枠数量、バター7600トン、脱脂粉乳750トン

 農林水産省は1月28日、4年度の指定乳製品などの輸入枠数量を公表した。これによると、上述の潤沢な在庫などの理由から、乳製品の輸入は約束数量である生乳換算13万7000トンに相当する数量にとどめることとし、バターは7600トン、脱脂粉乳は日米貿易協定に基づく750トンなどの数量が示された。当機構は、今回設定された輸入枠数量に基づき、輸入入札などを実施する予定である。

(酪農乳業部 古角 太進)