ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 鶏卵卸売価格は11カ月連続で前年の水準を上回って推移
令和4年1月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり151円(前年同月比9円高)となり、11カ月連続で前年同月を上回った。(図1)。例年、年末年始にかかる加工業者や量販店の休業などにより、産地に滞留した鶏卵が年明けの営業再開に伴い一斉に流通するため、年初の鶏卵相場の始値は大幅に下落する。その後、加工業者などによる買い入れが進み、荷余り状況が解消することにより、価格が上昇する傾向がある。
4年の始値は、3年12月の終値(同210円)より70円安の同140円となった。その後上昇傾向で推移し、1月末には同165円まで回復した。
なお、1月は成鶏更新・空舎延長事業(注) が5〜24日にかけて発動した。奨励金交付対象となる成鶏の出荷期間は3年12月6日〜4年1月24日となっている。3年度の卸売価格は昨冬の高病原性鳥インフルエンザの発生により採卵鶏の殺処分羽数が多かったことなどからおおむね高い水準で推移しており、今回は3年度第1回目の発動となった。
供給面は、3年11月以降、高病原性鳥インフルエンザの発生が複数県で確認されているものの、年末年始の生産調整からの産卵復帰の時期でもあり生産は順調とみられる。
需要面は、東京都などでまん延防止等重点措置が適用されるなどCOVID-19の影響を受けている外食需要の回復は不透明であるものの、決算期を控えた量販店による特売実施に向けた引き合いの強まりが見込まれる時期となっている。
(注) 鶏卵生産者経営安定対策事業の中の一つの事業。同事業は、鶏卵の標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を下回った日の30日前から標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を上回り日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。
卵用鶏の種鶏の初生ひなめす輸入羽数は前年比増
わが国で飼養される実用鶏(コマーシャル鶏)は、その多くが外国鶏であり、諸外国から原種鶏、種鶏、実用鶏を輸入している。このうち、輸入羽数が最も多いのは種鶏となっている。
農林水産省動物検疫所が公表した令和3年(1〜12月)の「初生ひな(鶏)国別輸入状況」によると、原種鶏初生ひな(卵用鶏・めす)の輸入羽数は、2万1903羽(前年比18.9%減)と前年を大幅に下回った(図2)。なお、輸入先はカナダ(1万2935羽)および米国(8968羽)の2カ国であった。一方、種鶏初生ひな(卵用鶏・めす)の輸入羽数は、14万5046羽(同65.6%増)と前年を大幅に上回った(図3)。なお、輸入先はフランス(11万2066羽)、オランダ(1万8197羽)、米国(1万571羽)、カナダ(4212羽)の4カ国であった。
輸入先において高病原性鳥インフルエンザが発生すると、初生ひなの輸入停止措置対象地域からの輸入が停止されることから、輸入先を他国へ切り替えることもある。このため、各年の国別構成比は異なるものの、種鶏初生ひな(卵用鶏・めす)の輸入羽数は近年9万羽前後で推移していたが、3年は14万羽台と高い水準となった。なお、現在、米国およびカナダ、欧州ではオランダをはじめ複数の国で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されており、今後の発生状況を注視する必要がある。
(畜産振興部 前田 絵梨)