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2021年の牛肉輸出量、主要国では韓国を除き大きく減少
豪州農業・水・環境省(DAWE)によると、21年12月の牛肉輸出量は7万7058トン(前年同月比9.4%減)とかなりの程度減少した(表)。また、同年の累計でも90万トンを下回る88万7679トン(前年比14.6%減)とかなり大きく減少した。現地報道によると、21年は牛群再構築が本格化して牛肉生産量が減少したことや、中国との政治的緊張を背景とした同国向け輸出量の減少などにより、牛肉輸出量は36年ぶりの低水準になったとしている。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である日本向けは1万6819トン(前年同月比25.5%減)と大幅に減少し、暦年累計でも23万3818トン(前年比13.2%減)となった。
米国向けは1万5277トン(前年同月比0.5%増)とわずかに増加したものの、暦年累計では14万5025トン(前年比31.5%減)と大幅に減少した。現地報道によると、これは年間を通して牛群再構築が進む中、農家での雌牛保留意欲が高まり、雌牛のと畜頭数が減少したことで、米国向けに輸出されるひき肉など加工用牛肉の供給に影響を及ぼしたことが一因としている。
韓国向けは、セーフガードが発動したことにより1万5181トン(前年同月比7.4%減)とかなりの程度減少したが、暦年累計では16万5053トン(前年比2.6%増)とわずかに増加した。
中国向けは1万3805トン(前年同月比8.9%減)とかなりの程度減少し、暦年累計では14万8357トン(前年比24.6%減)と大幅に減少した。現地報道によると、中国は豪州からの輸入に代わり、南米などからの輸入を増やしてきたが、最近ではアルゼンチンの牛肉輸出規制(注2)やブラジルの非定型BSE発生事例を受け、牛肉の輸入先の多様化を図っているとしている(注3)。なお、1月末時点で対中輸出認定施設のうち10施設が輸出停止となっている。
(注2)海外情報「アルゼンチン、牛肉輸出制限措置を追加緩和」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003065.html)を参照されたい。
(注3)『畜産の情報』2022年1月号「堅調な需要から生産量、輸入量ともに増加」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001928.html)を参照されたい。
(調査情報部 国際調査グループ)