2021年11月の牛と畜頭数、牛肉価格の上昇により増加
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2021年11月の牛と畜頭数は24万頭(前年同月比4.5%増)とやや増加し、直近5年間の同月実績では最大となった(図)。これは、高水準で推移する同国内の牛肉価格などが背景にあるとみられる。
一方、2021/22年度(10月〜翌9月)の10〜11月の累計を見ると、前年同期並みとなっている。牛と畜頭数の内訳を見ると、去勢牛(12万頭、前年同期比3.0%増)、雄牛(9万1000頭、同2.6%増)が増加した一方、未経産牛(10万6000頭、同0.7%減)、経産牛(7万7000頭、同5.5%減)が減少している。これは、生産者乳価が高い水準で推移したことで酪農部門での保留傾向が強まったことが影響している。
2021年11月の牛肉輸出量、日本向けは増加
Stats NZによると、2021年11月の牛肉輸出量は3万3573トン(前年同月比1.8%増)とわずかに増加している(表1)。内訳は、冷蔵牛肉が3814トン(同5.8%増)、冷凍牛肉が2万9796トン(同1.4%増)となった。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは1万5012トン(同3.5%増)とやや増加した。また、日本向けは2455トン(同32.5%増)と大幅に増加した。これは、豪州産牛肉の生産量の減少や価格の高騰などにより、冷凍品を中心にNZ産牛肉への引き合いが強まったためとみられる。一方、米国向けは8057トン(同11.4%減)とかなり大きく減少した。米国農務省(USDA)によると、米国の牛肉輸入は、中国向け輸出が停止していたブラジル産の割合が増加傾向にあるとしている
(注)。
(注)なお、中国向け輸出停止措置は、2021年12月15日に解除されている。『畜産の情報』2022年2月号「2021年1〜11月の牛肉輸出量、前年同期を下回って推移」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001966.html)を参照されたい。
2021/22年度の牛と畜頭数、去勢牛および未経産牛を中心に減少する見込み
ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)が公表した「New Season Outlook2021-22」によると、2021/22年度の輸出向け牛と畜頭数は、268万頭(前年度比5.1%減)とやや減少が見込まれている(表2)。内訳を見ると、雄牛を除いていずれも減少しており、特に去勢牛と未経産牛は、前年度の増加の反動から、かなりの減少が見込まれている。
この結果、牛肉生産量は68万2000トン(同5.1%減)とやや減少が見込まれている。また、牛肉輸出量(船積重量ベース)は、牛肉生産量の減少により46万8000トン(同5.1%減)と同程度の減少が見込まれている。
なお、BLNZは、世界的な牛肉需給について、今後、主要輸出先である中国の牛肉需要が緩和する可能性があるとしているほか、COVID-19による物流停滞などから供給面でのひっ迫が見込まれ、不透明な状況にあるとしている。
(調査情報部 廣田 李花子)