生乳生産量は5カ月連続で減少
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2021年12月の生乳生産量は260万3000トン(前年同月比5.0%減)とやや減少し、5カ月連続で前年同月を下回った(図1)。ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、12月に入り、北島を中心に干ばつに近い状況になっている地域が出るようになり、牧草の生育状況が予想よりも良くなかったことなどが背景にあるとしている。
12月の乳製品輸出量、脱脂粉乳とチーズは前年同月比減
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2021年12月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳およびチーズが前年同月をかなり大きく下回った一方、全粉乳とバターおよびバターオイルはわずかに上回った(表1、図2)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、フィリピンやマレーシアなど東南アジア向けが前年同月を大幅に上回ったものの、最大の輸出先である中国向けが大幅に落ち込んだことで、全体ではかなり大きな減少となった。また、チーズも、主要輸出先である中国向けや豪州向けが大幅に落ち込んだことで、全体では前年同月をかなり大きく下回った。一方、全粉乳は、中国向けが前年同月をかなりの程度下回ったものの、中東向けやアフリカ向けが大幅に上回ったことで、全体ではわずかに増加した。さらに、バターおよびバターオイルは、日本向けや東南アジア向けが前年同月を下回ったものの、中国向けやエジプト向けが増加したことで、全体ではわずかに増加した。
GDT、主要4品目いずれも前回より上昇
2022年1月18日に開催されたグローバルデイリートレード(GDT:月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされる。)の1トン当たり平均取引価格は、主要4品目のいずれも前回開催(同年1月5日)時から上昇した(表2、図3)。
品目別の平均取引価格を見ると、脱脂粉乳は、1トン当たり3963米ドル(46万円、前回比5.0%高)となった。米国産に対するメキシコとカナダからの需要や、NZ産に対するアジア諸国からの需要が集中したことを受け、前回からやや上昇した。全粉乳は、中国を中心とする北アジア(注)からの旺盛な需要にけん引され、同4082米ドル(47万4000円、同5.6%高)と前回からやや上昇した。バターは、北アジアからの需要が最も強かったほか、中東やアフリカからの需要も増加し、同6158米ドル(71万4000円、同4.9%高)と17年9月以来となる6000米ドル台を記録した。チーズは、同5546米ドル(64万3000円、同1.1%高)と、21年10月開催時以降、8回連続で上昇している。
NZXによると、乳製品取引価格の上昇は、NZのほか、EUや米国などの主要な乳製品輸出国の生乳生産量が減少する中、各国からの買いが旺盛になっていることが要因としている。
(注)ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 廣田 李花子)