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海外の需給動向【飼料穀物/中国】 畜産の情報  2022年3月号

国産トウモロコシおよび大豆の価格動向

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トウモロコシ、新穀の供給増で国産価格は弱含みで推移と予想
 中国農業農村部は1月21日、「農産物需給動向分析月報(2021年12月)」を公表した。この中で、国産トウモロコシの短期的な価格動向について、販売のピークを迎えて新穀の供給が大幅に増加することで、安定かつ弱含みで推移すると予想している(図1)。また、トウモロコシの生産コスト上昇などから資金回収に向けて農家の販売意欲が高いものの、工場向け需要の回復から企業による在庫拡充が意欲的に行われていることで、価格は一定の範囲内にとどまるとしている。


 主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、12月が1キログラム当たり2.48元(45円:1元=18円(注))と前月からわずかに下落した。同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)同2.82元(51円)に比べ同0.34元(6円)安となり、前月からわずかに価格差が広がっている。
 一方、関税割当数量を超えた輸入トウモロコシ価格(65%の関税+25%の追加関税)は同4.00元(72円)と前月から同0.1元(2円)下落した。国産トウモロコシ価格に比べ同1.18元(21円)高いが、前月より価格差は縮まっている。
 このような中で、中国のトウモロコシ輸入量は引き続き高い水準にある。21年1〜11月のトウモロコシ輸入量は2702万トン(前年同期比2.0倍)、同輸入額は前半の穀物価格の上昇を反映し同2.9倍の75億7600万米ドル(8788億円:1米ドル=116円(注))と報告されている。主な輸入先は米国(輸入量全体の72.5%)、ウクライナ(同27.1%)、ロシア(同0.3%)となった。

大豆、国産価格は引き続き高水準と予想
 大豆については、21年の国産大豆の収穫が終了し、作付面積、単収、生産量が前年に比べて減少と報じられている中で、価格高を見越して農家は販売を控える傾向が強まっており、市場への供給量が限られることで国産大豆価格は上昇傾向にあるとしている(図2)。


 主産地である黒竜江省の搾油用向け国産大豆平均取引価格は、12月が1キログラム当たり5.02元(90円、前年同月比8.6%高)、同じく食用向け同価格は同6.12元(110円、同21.8%高)と前年に比べて高い水準にある。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.54元(118円、同14.2%高)と同じく高い水準にある。国産大豆価格の上昇を受けて、下落基調にある輸入大豆との価格差は12月が1キログラム当たり2.22元(40円)と前月からさらに拡大した。
 今後の見通しについて同分析月報では、生産者からの供給量が限られる中で、国内で散発的な発生が確認されるCOVID-19の影響に伴う物流や輸送コストの上昇などから、国産大豆価格は引き続き高値で推移するとしている。
 このような中で、中国の大豆輸入量は引き続き高い水準にある。21年1〜11月の大豆輸入量は8765万トン(前年同期比5.5%減)とやや減少傾向にあるが、同輸入額は前半の穀物価格の上昇を反映し同33.1%増の482億7500万米ドル(5兆6000億円:1米ドル=116円(注))と報告されている。主な輸入先は、ブラジル(輸入量全体の63.9%)、米国(同29.9%)、アルゼンチン(同3.9%)となった。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年1月末日TTS相場
 
(調査情報部 横田 徹)