公益社団法人日本食肉格付協会は、令和3年(1〜12月)の「牛枝肉格付結果(品種別・性別)」および「豚枝肉格付結果」(令和4年1月31日版)を公表した。
牛枝肉の格付実施率は、成牛のと畜頭数(105万1609頭)に対して85.0%と、前年から0.2ポイント減少した一方、豚枝肉の格付実施率は、と畜頭数(1683万6873頭)に対して76.9%と前年から0.6ポイント増加した。以下、畜種ごとの格付結果を紹介する。
【牛肉】「A-5」の格付頭数は2年連続で15等級の中で最多に
令和3年の牛枝肉の総格付頭数は、同年の成牛のと畜頭数(前年比0.4%増)が増加となったことから、89万4203頭(同0.2%増)と前年から増加となった。品種別の格付頭数を見ると、「和牛」(46万5074.5頭)は前年比1.4%増、「交雑牛」(21万6278.5頭)は同0.6%増、外国種などを含む「その他の牛」(1万4619頭)は同8.4%増と前年を上回った一方、「乳用牛」(19万8231頭)はと畜頭数の減少から同3.3%減と前年を下回った。
牛肉は、「歩留等級(A〜C)」と「肉質等級(5〜1)」を組み合わせた15段階で格付されている。歩留等級とは、枝肉から得られる部分肉の割合を評価し、部分肉歩留が標準より良いものはA、標準のものはB、標準より劣るものはCと判定される。また、肉質等級とは、(1)脂肪交雑(サシ)、(2)肉の色沢、(3)肉の締まりおよびきめ、(4)脂肪の色沢と質、の4項目を5段階で評価し、四つの項目中、最も低い等級が肉質等級として判定される。
3年の牛全体における等級ごとの格付頭数の推移を見ると、「A-5」が21万7292.5頭(同9.7%増)と前年をかなりの程度上回り、2年連続で15等級の中で最多となった(図1)。全体に占める割合は、24.3%となり、前年から2.1ポイント増加した。「A-5」の内訳を見ると、和牛去勢が64.2%、和牛めすが34.9%と、和牛で99%を超えており、「A-5」の増加は、格付頭数のほとんどを占める和牛のと畜頭数の増加などによるものとみられる。
「A-5」に次いで多い「B-2」は、平成25年をピークに減少が続いており、15万9844頭(同3.1%減)と前年をやや下回った。「B-2」のうち約5割を乳用牛去勢が占めており、乳用牛のと畜頭数の減少が「B-2」の格付頭数の減少の主な要因の一つとみられる。
歩留等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「A等級」の割合は49.8%と、平成24年と比較すると6.5ポイント増加した(図2)。また、肉質等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「5等級」の割合は24.8%と同16.0ポイント、「4等級」は21.6%と同1.9ポイントそれぞれ増加しており、歩留および肉質が向上していることが分かる(図3)。
品種別・性別の格付頭数を見ると、和牛去勢が26万2006.5頭(前年比1.4%増)と最も多く、次いで和牛めすが20万2898頭(同1.4%増)、乳用牛去勢が14万9355頭(同4.8%減)、交雑牛去勢は11万4062頭(同0.2%減)、交雑牛めすは10万2190.5頭(同1.4%増)となった(図4)。
なお、品種別の格付割合は、和牛が52.0%(前年比0.6ポイント増)、交雑牛が24.2%(同0.1ポイント増)、乳用牛が22.2%(同0.8ポイント減)、その他の牛が1.6%(同0.1ポイント増)となった。
3年の品種別・性別ごとの格付構成割合を見ると、和牛去勢は、「A-5」が53.3%と、前年から3.8ポイント増加した一方、「A-4」は32.3%と同1.5ポイント、「A-3」は8.7%と同1.3ポイントそれぞれ減少した(図5)。
また、和牛去勢全体に占める「A等級」の割合は、95.5%(同0.7ポイント増)となった。
交雑牛去勢は、「B-3」が最も多く、36.8%と前年から1ポイント減少した一方、「B-2」は21.3%と同0.7ポイント、「B-4」は14.7%と同0.6ポイントそれぞれ増加した(図6)。
乳用牛去勢は、「B-2」が最も多く、51.2%と同1.6ポイント減少した一方、「C-2」は44.9%と同2.1ポイント増加した(図7)。また、平成28年以降、「B-2」は減少傾向で推移しているのに対し、「C-2」は増加傾向で推移している。
【豚肉】3年の格付構成比、「上」が48.6%、「中」が34.7%
豚肉は、枝肉の重量および背脂肪の厚さ、外観(均称、肉づき、脂肪付着、仕上げ)、肉質(肉の締まりおよびきめ、肉の色沢、脂肪の色択と質、脂肪の沈着)の基準に照らして、「極上」、「上」、「中」、「並」、「等外」の5等級に格付される。
3年の豚枝肉の総格付頭数は、1293万9224頭(前年比1.7%増)と前年をわずかに上回った。等級別の格付頭数を見ると、「上」が629万401頭(前年比1.1%増)と最も多く、次いで「中」が448万5260頭(同3.2%増)、「並」が155万7478頭(同2.1%減)、「等外」が50万6432頭(同2.1%減)、「極上」は9万9653頭(同97.7%増)となった(図8)。
3年の等級別の格付構成比を見ると、「上」が48.6%(前年比0.3ポイント減)と最も多く、次いで「中」が34.7%(同0.6ポイント増)、「並」が12.0%(同0.5ポイント減)、「等外」が3.9%(同0.2ポイント減)、「極上」が0.8%(同0.4ポイント増)となり、構成比に大きな変化は見られなかった(図9)。
(畜産振興部 田中 美宇)