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国内の需給動向【牛乳・乳製品】 畜産の情報 2022年4月号

牛乳・乳製品の輸出金額、右肩上がりで推移

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全国の生乳生産量、北海道・都府県ともに堅調に推移

 令和4年1月の生乳生産量は、北海道が36万6919トン(前年同月比4.7%増)、都府県が28万3267トン(同2.0%増)となり、いずれも引き続き前年を上回って推移している。これにより、全国の生乳生産量は65万186トン(同3.5%増)と前年同月をやや上回る結果となった(図1)。
 

 生乳の用途別処理量は、牛乳等向けが32万8016トン(同0.1%減)と前年並みに落ち着いた(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。牛乳等向けは3年7月を底に徐々に減少幅が縮小してきている。また、業務用向けについては、2万5615トン(同8.5%増)と前年同月をかなりの程度上回っている。他方で、乳製品には31万7887トン(同7.4%増)仕向けられた中で、脱脂粉乳・バター等向けは17万4663トン(同7.6%増)と、前月(3年12月)とほとんど同量であった(図2、表)。また、クリーム向けが5万9814トン(同13.1%増)、チーズ向けが3万8617トン(同5.6%増)と、いずれも2カ月連続で前年同月を上回っていることから、牛乳等向けの減少幅の縮小に加えて、クリームおよびチーズへの仕向け量増加が年末年始の処理不可能乳の発生回避に貢献したとみられる。
 

 

令和3年1人当たり牛乳・乳製品支出金額、前年を下回るものの巣ごもり需要継続

 総務省が2月に公表した「家計調査報告」によると、令和3年(1〜12月)の全国1人当たりの牛乳・乳製品の支出金額は1万3056円(前年比2.2%減)と前年をわずかに下回ったものの、COVID-19拡大以前である令和元年と比較すると、やや上回る結果となっている(元年比5.2%増)(図3)。
 内訳を見ると、いずれも前年を下回ったものの、バターが465円、チーズが2296円、ヨーグルトが4715円とそれぞれ前年に次いで過去2番目の支出金額となったことから、牛乳・乳製品全体でも前年に次ぐ結果となり、一定の巣ごもり需要が継続しているものとみられる。月別の支出金額を参照すると、特にバターについては業務用需要が不振の中、家庭内での消費が1年を通して増加していることがうかがえる(図4)。


 

令和3年のチーズ類輸出金額大幅増加

 農林水産省が2月に公表した「農林水産物輸出入情報」によると、令和3年の牛乳・乳製品の輸出金額は過去最高額の188億3629万円となった(図5)。
 品目別に見ると、特にチーズ類の伸長が顕著で、20億2149万円(前年比38.3%増)と大幅に増加し、過去最高を更新した。輸出先上位は台湾、香港、ベトナムの順となっており、特に台湾向けが10億5497万円と前年から8割以上増加した。
 最も大きな割合を占める粉乳などについても139億1772万円(同1.5%増)と微増した。
一方で、牛乳・部分脱脂乳は17億6595万円(同0.6%減)で微減したものの、対元年比では約28%増加しており、チーズ同様東アジア・東南アジアからの引き合いが強く、今後のさらなる輸出拡大が見込まれる。
 
(酪農乳業部 古角 太進)