令和4年2月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり175円(前年同月比8円安)と12カ月ぶりに前年同月を下回った(図1)。
卸売価格は、例年、最需要期の12月に向けて上昇した後、年明けに下落し、春先に向けて再び上昇する傾向がある。本年2月の同価格は165円でスタートして月末まで段階的に上昇し、1カ月間の上昇幅は20円となった。
今後について、供給面は、生産調整からの回復や気温の上昇に伴う生産量の増加が見込まれる一方で、例年、高病原性鳥インフルエンザの発生が3月末まで続くことから見通しは不透明な状況となっている。需要面は、COVID-19の影響から、巣ごもり需要によるテーブルエッグの消費が堅調に推移する一方で、業務・外食用需要は低調で推移しているため、引き続き動向を注視する必要がある。
3年の鶏卵輸出量、香港とシンガポール向けが前年比2割増
貿易統計によると、令和3年の鶏卵(殻付き卵)の輸出量は2万1964トン(前年比21.2%増)、輸出金額は58億6687万円(同27.9%増)となった。(図2)
輸出量を国別で見ると、鶏卵の総輸出量の約98%を占める香港向けが2万1608トン(同21.5%増)、次いで多いシンガポール向けが329トン(同20.8%増)と、いずれも大幅に増加した。国内における高病原性鳥インフルエンザの発生により一部の国・地域への輸出制限があったものの、香港およびシンガポールでは引き続き日本産鶏卵の市場が拡大している状況がうかがえる。
(畜産振興部 郡司 紗千代)