COVID-19の影響により、飛騨牛は行き場を失ったため、生産者や小売店は多大な影響を受け、JA飛騨ミート(以下「飛騨ミート」という)でのセリ価格は令和2年4月の去勢A5等級取引単価は、前年同月比38%安となりました(図3)。そこで、JAひだ、十六総合研究所、飛騨信用組合の金融機関とネット通販・ECコンサルティング会社(株式会社ヒダカラ)、などが連携するとともに、高山市、飛騨市、下呂市、白川村の後援により、「#おうちで飛騨牛」プロジェクト実行委員会を立ち上げ、飛騨牛の復興のために業界の垣根を超え、かつスピード感を持って取り組みました(表2)。これは、畜産農家や精肉業者を食べて応援することによりALL飛騨で地元ブランドを守りたいとの考えに至ったことから、クラウドファンディング
(注)を活用し、飛騨牛の流通促進を図ることがねらいとしてあったためです(図4)。具体的な支援内容としては、支援をいただいた方には、支援金によりリターン品を設定し、1万円の方には飛騨牛1キログラム以上の福袋、2万円の方には飛騨牛の塊肉1.5キログラム以上、30万円の方には飛騨牛のステーキ・焼き肉食べ比べセットを2回定期便として発送することとしました。
その結果、ゴールデンウイークを含む12日間で支援者1万人から支援総額1億1437万円を集め、当初の目標金額である1000万円の10倍強となるご支援をいただきました。この結果、国内最大のクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」において、私たちが取り組んだプロジェクトが令和2年に掲載された1万3000件のプロジェクトの最高位となる総合賞1位を受賞し、同アワードが開始された平成29年以来、食品部門での初の最高位受賞となりました。さらには、「みんなで飛騨牛、飛騨路で飛騨牛、おうちで飛騨牛第2弾」(期間:令和3年7月29日〜8月31日、支援額:2007万円)を実施するなど、新たな飛騨牛のファンを獲得するとともに、中長期的な消費拡大を図ることができたのです。
(注)クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた「インターネット上のプラットホームを介して不特定+の人々から資金を調達する」ことを指す造語。主に購入型、寄付型、様式型、ファンド型、融資型、ふるさと納税型の6種類に分類される。本稿で紹介しているのは購入型で、実現したい夢や活動をプロジェクト化して資金を募り、プロジェクトを支援した人がモノやサービスのリターンを得られる仕組み。支援者はリターン品やサービスを購入するイメージで支援することができる。