11月の豚肉生産量は前年同月比1.8%増
欧州委員会によると、2021年11月の豚肉生産量(EU27カ国)は、前年同月比1.8%増の208万6690トンとなった(図1、表)。また、1〜11月の累計では、前年同期をわずかに上回る2140万トン(前年同期比1.8%増)となった。11月は、1頭当たり枝肉重量が93.3キログラム(前年同月比1.4%減)と前年同月を下回ったものの、と畜頭数が2236万頭(同3.2%増)と前年同月を上回ったことが生産増に寄与した。
同月の生産量を主要生産国別に見ると、スペイン(同7.0%増)、フランス(同1.4%増)、デンマーク(同8.2%増)、イタリア(同4.8%増)が前年同月を上回った。一方、ドイツ(同4.1%減)、ポーランド(同2.9%減)、オランダ(同0.9%減)が前年同月を下回った。英国農業・園芸開発委員会によると、スペインの生産量増加がEU全体の生産量の増加を支えているとしている。
なお、現地報道によると、2021年に入りオランダからスペインへの子豚の輸出頭数が増加傾向で推移しており、前年比22%増の155万頭であったとされている。
1月の豚枝肉卸売価格は、前年同月比2.9%高
欧州委員会によると、2022年1月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比2.9%高の100キログラム当たり131.56ユーロ(1万7213円:1ユーロ=130.84円
(注1))となった。
同価格の推移を週ごとに見ると、21年7月下旬の週以降、前年同月同週を下回って推移していたものの、同年11月29日の週を境にこれを上回って推移している(図2)。直近の22年2月14日の週は前週比1.2%高の同131.48ユーロ(1万7203円)となった。これは、21年12月時点の豚総飼養頭数(EU27カ国)が1億4156万頭(前年比3.0%減)と減少し、ドイツなどにおけるアフリカ豚熱の発生に伴う中国などからの輸入停止措置により供給過多となっていたEU域内の状況が、徐々に改善に向かうとの期待感が示されたためとみられている。また、多くの国でCOVID-19拡大防止に関する規制が解除されつつある中、外食産業を中心に豚肉の需要が回復していることも理由に挙げられる。
しかし、豚枝肉卸売価格の回復の程度は加盟国によって異なっている。スペインでは本年に入り1月上旬の週から14%近く上昇している一方、一部の加盟国では、依然として低水準で推移している。このことから、価格低迷に悩むポーランド、ハンガリー、ラトビアが2月に欧州委員会に対して市場介入措置を要請したものの、拒否された
(注2)。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年2月末TTS相場。
(注2)海外情報「欧州委員会、豚に関する市場介入措置の要請を再度拒否(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003190.html)を参照されたい。
(調査情報部 小林 智也)