3月のフィードロット飼養頭数、記録的高水準
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年2月のフィードロット導入頭数は184万8000頭(前年同月比9.3%増)、出荷頭数は182万5000頭(同4.9%増)となった。この結果、22年3月のフィードロット飼養頭数は1216万3000頭(同1.4%増)となり、3月1日時点の飼養頭数としては記録的高水準となった(図1)。
現地情報によると、肥育もと牛価格が高いことや干ばつによりフィードロットへの雌牛出荷が増加していることなどが要因としている。特に、干ばつの影響が大きかったテキサス州、カンザス州、ネブラスカ州のフィードロットでは、導入頭数が前年同月と比べて10%以上増加している。
同じくUSDA/NASSによると、22年2月の牛と畜頭数は263万4100頭(同6.5%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図2)。新型コロナウイルスのオミクロン株感染が広がったことにより1月の食肉処理場の稼働率が低下し、肥育牛が滞留していた中で、2月に入り稼働率が回復してきたことから出荷が増えたものとみられる。
需要期を控え在庫は高水準
米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2022年2月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー)は、100ポンド当たり272.77米ドル(1キログラム当たり742.01円:1米ドル=123.39円
(注)、前年同月比15.3%高)と前月からは下落したものの、依然として高い水準にある(図3)。現地情報によると、肥育牛の出荷量増加に伴い2月の同価格がやや低下したため、春から夏の需要期に向けた価格上昇と今後の牛肉供給量不足を懸念した小売業者の購入が目立っているとしている。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年3月末TTS相場。
また、22年2月の牛肉期末在庫量は、24万2900トン(前年同月比2.7%増)となり、2月末の在庫量としては過去最高となった(図4)。現地情報によると、この在庫増は需要の減退を意味しているものではなく、前述の通り春以降の需要期に対する供給懸念を持つ小売業者が在庫を増やしたものと分析している。
(調査情報部 上村 照子)