1月の生乳出荷量、前年同月比0.7%減
欧州委員会によると、2022年1月の生乳出荷量(EU27カ国)は前年同月をわずかに下回る1165万6240トン(前年同月比0.7%減)となった(図1、表1)。
同月の生乳出荷量を国別に見ると、イタリア(同0.5%増)、ポーランド(同2.7%増)、スペイン(同1.8%増)など主要国の多くが前年同月を上回った一方で、上位のドイツ(同2.2%減)、フランス(同2.2%減)、オランダ(同2.7%減)はいずれも下回った。これは、環境規制強化などの影響による飼養頭数の減少が要因とみられる。
乳製品の需要が堅調な中、生乳出荷量が5カ月連続で前年同月を下回っており、生乳取引価格は上昇傾向で推移している。2月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、前年同月比20.8%高の100キログラム当たり42.25ユーロ(5839円:1ユーロ=138.20円
(注))と過去最高値を更新し、12カ月連続で前年同月を上回った(図2)。しかし、このような中でも酪農家の経営状況は厳しさを増しつつある。欧州委員会によると、直近の3月12日の週の飼料コストが過去4週間の平均と比較して15%増となっていることから、1トン当たりの生乳取引価格と飼料コストの差は縮小傾向となっている。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年3月末TTS相場。
チーズのEU域外向け輸出量は前年を上回る
欧州委員会によると、2021年の英国を除くEU域外向けの乳製品輸出量は、チーズが95万9812トン(前年比5.6%増)と前年を上回った一方で、脱脂粉乳が77万4396トン(同3.6%減)、全粉乳が27万9719トン(同11.0%減)、バターが18万1062トン(同10.2%減)と前年を下回った(表2)。22年の乳製品輸出について欧州委員会は、生乳出荷量の減少に伴う乳製品の生産減や乳製品価格の高騰を受けて輸出量は減少する可能性が高いとしている。
なお、ウクライナ情勢が需給に及ぼす影響として、ウクライナ向けはチーズの輸出量がわずかにあるが輸出への影響はほとんどないとする一方で、同国からEU域内への避難民が増加していることは、域内のチーズ消費量をわずかに上昇させるとみている。
(調査情報部 小林 智也)