ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 生乳生産量は低迷も、旺盛な乳製品需要は継続
2022年2月の生乳生産量、7カ月連続で減少
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年2月の生乳生産量は177万3000トン(前年同月比8.2%減)と減少し、7カ月連続で前年同月を下回った(図1)。また、21/22年度(6月〜翌5月)の2月までの累計も1724万4200トン(前年同期比4.2%減)と減少した。
この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、乾燥した天候が継続したことで、NZ全土の放牧環境が不良となったことを挙げている。また、生乳生産量の低迷を受けて、生産者支払乳価(注1)は好調であるものの、飼料価格の高騰が続いているため、補助飼料の給餌を積極的に行う酪農家は増えていないとし、生乳生産は今後も厳しい状況が続くとみている。
(注1) 海外情報「フォンテラ社、生産者支払乳価を3カ月連続の引き上げ(NZ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003191.html)を参照されたい。
乳製品輸出量、主要2品目が前年同月を大幅に上回る
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年2月の乳製品輸出量は、全粉乳を除く主要3品目が前年同月を上回った(表、図2)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、最大の輸出先である中国向けが前年同月比で3割程度減少したものの、インドネシアやマレーシア向けなどがそれぞれ同2倍程度増加したことで、全体では大幅に増加した。全粉乳は、最大の輸出先である中国向けを含め全体でもかなりの程度減少した。また、バターおよびバターオイルは、米国向けが大幅に減少したものの、最大の輸出先である中国向けを中心に全体で大幅に増加した。チーズは、最大の輸出先である中国向けはかなりの程度減少したものの、輸出量第2位の日本向けの大幅増などから全体ではわずかに増加した。
GDT、主要4品目いずれも高値で推移
2022年3月15日に開催されたグローバルデイリートレード(注2)の主要乳製品4品目の1トン当たり平均取引価格は、図3の通りとなった。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、北アジア(注3)やEUからの需要を背景に堅調に推移した。また、全粉乳は、アフリカなどからの引き合いが弱まり、前回よりやや下落した。バターは、北アジアのほか、北米やEUからの引き合いも強く、1トン当たり7000米ドルを記録した前回に引き続き高値で推移している。チーズは、北アジアなどからの需要にけん引され前回並みとなった。
(注2) 月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークション。乳製品の国際価格の指標とされている。
(注3) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 廣田 李花子)