ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は3月10日、2021/22年度第6回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
第2期作トウモロコシ、7割程度の播種作業が終了
2021/22年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回から大きな修正はなく、1億1234万1100トン(前年度比29.0%増)と第2期作を中心に前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった19/20年度の記録を更新する水準である。
全生産量の4分の1弱を占める第1期作トウモロコシは、作付面積の23.3%(22年2月末時点)で収穫が行われ、生産量は2433万1500トン(同1.6%減)と前年度をわずかに下回ると見込まれている。これは、作付面積が増加したものの、南部のリオグランデドスル州およびパラナ州において21年11月からの干ばつや高温などの影響で単収が大幅に減少したためである。
また、全体の4分の3程度を占める第2期作は、作付面積の74%以上(22年2月末時点)で
播種が行われた。生産量は8615万3800トン(同41.8%増)と不作であった前年度を大幅に上回ると見込まれている。主要な生産地の中でも特に最大の生産州である中西部のマットグロッソ州やそれに次ぐ南部のパラナ州では、播種作業が順調に進み全体の増産予測をけん引している。
大豆生産量、干ばつなどの影響により3回連続で下方修正
2021/22年度の大豆生産量は、前回より270万1700トン少なく3回連続で下方修正され、1億2276万9600トン(前年度比11.1%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。これは、南部各州および中西部のマットグロッソドスル州で21年11月〜22年1月ごろに発生した干ばつや高温などの影響により、単収がさらに減少すると見込まれるためである。なお、大豆は作付面積の42%以上(22年2月末時点)で収穫が行われた。
地域別に見ると、南部のリオグランデドスル州では、22年2月に降雨があったものの、それまで3カ月近くまとまった雨がなく、さらに猛暑が続いたことから深刻な被害を受け、単収の減少や品質の低下を招いた。このため、生産量は前回よりさらに下方修正され、ほぼ半減(同46.0%減)すると見込まれている。一方、最大の生産州である中西部のマットグロッソ州では、収穫時の降雨による作業の遅れや作物の品質低下が生じるものの、収穫作業は3月に終了し、高水準の単収を維持すると見込まれている。
21/22年度の大豆需給動向を見ると、今回、生産量のほか加工量が下方修正された。これは、バイオディーゼル生産向けの大豆油使用割合の低下が見込まれているためである。
(調査情報部 井田 俊二)