フィードロット飼養頭数、高水準で推移
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年3月のフィードロット導入頭数は前年同月比0.4%減の199万頭、出荷頭数は同2.0%減の200万頭といずれも減少した。一方で、22年4月1日現在のフィードロット飼養頭数は、同1.7%増の1210万5000頭と4カ月連続で前年同月を上回り、依然として高い水準にある(図1)。22年第1四半期の実績を見ると、導入頭数は前年同期比2.3%増の584万2000頭、出荷頭数は同0.2%減の559万8000頭となった。また、フィードロット飼養頭数の内訳を見ると去勢牛と未経産牛の頭数が増えており、中でも未経産牛の割合(38%)が高水準となっている。現地報道によると、導入頭数の多さと未経産牛割合の上昇は、干ばつに伴い育成農家や繁殖農家における早期淘汰(とうた)が進み、多くの育成牛や後継牛(未経産牛)がフィードロットに出荷されている実態を示しているとしている。これらの結果、高いフィードロット飼養頭数となっている。
また、3月の牛と畜頭数は、フィードロットからの肥育牛の出荷頭数が減少しているにもかかわらず前年同月比0.3%増の295万5100頭となった。(図2)。これは、経産牛(肉用)のと畜頭数が同15.6%増となったことの影響が大きく、干ばつにより繁殖農家における淘汰が進んだ実態を示したものとみられる。
2月の牛肉輸出量、中国向けが高水準で推移
USDA経済調査局(ERS)によると、2022年2月の牛肉輸出量は11万5406トン(前年同月比1.6%増)と前月からわずかに増加した(表1)。輸出先別に見ると、日本向けはまん延防止等重点措置適用による外食需要の停滞により同11.0%減(2万6760トン)、韓国向けは前月の輸出量の伸びが影響し同20.9%減(2万3937トン)とそれぞれ大きく減少した。一方で中国向けは、引き続き旺盛な輸入需要から同77.9%増(1万9569トン)と大幅に増加した。
米国食肉輸出連合会(USMEF)のホルストロム会長は、牛肉の好調な輸出が続いていることについて、「世界的な牛肉の供給不足が続く中、米国産食肉には海外の底堅い需要があり、既存市場と新興市場の両方で米国産牛肉の輸出はさらなる成長の可能性がある」とコメントしている。
2月の牛肉輸入量、過去最高を記録
また、2022年2月の牛肉輸入量は、ブラジル産牛肉の大幅な増加にけん引され12万6512トン(前年同月比40.5%増)となった(表2)。3月の輸入実績は未公表であるが、4月6日に米国税関国境保護局が公表した資料によると、22年の米国の低関税枠(6万5005トン)については、3月28日に上限に達している。このため、今後はブラジル産牛肉を含め、独自の関税割当のない輸入牛肉に対して26.4%の関税が適用されることとなる。
(調査情報部 伊藤 瑞基)