2月の生乳出荷量、前年同月比0.7%増
欧州委員会によると、2022年2月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1103万5500トン(前年同月比0.7%増)と前年同月をわずかに上回った(図1、表)。
同月の生乳出荷量を国別に見ると、イタリア(同1.9%増)、ポーランド(同4.3%増)、スペイン(同0.5%増)など主要国の多くが前年同月を上回った一方で、上位のドイツ(同0.6%減)、フランス(同0.1%減)、オランダ(同1.5%減)はいずれも下回った。
欧州委員会は、4月5日に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、乳用牛飼養頭数が減少傾向で推移していることから、生乳出荷量の増加には1頭当たりの乳量の増加が必要としている。しかし、飼料価格が上昇しているため、購入飼料依存型の経営にあってはその増加は限定的となる。そのため、1頭当たりの乳量が前年比1.0%増とわずかな上昇にとどまり、乳用牛飼養頭数が同1.0%減と見込まれることから、22年の生乳出荷量は前年並みと見込まれている。
乳製品価格は引き続き上昇傾向
欧州委員会によると、2022年3月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり43.48ユーロ(5971円:1ユーロ=137.33円
(注)、前年同月比23.6%高)と先月に引き続き過去最高値を更新した(図2)。前述の同見通しの中で、生乳取引価格の上昇要因として、生乳の供給がタイトとなる一方で、中国からの輸入需要が強いこと、また、粉乳以外にも外食産業向けのチーズとクリームの需要が堅調であることが挙げられている。さらに、短期的には同価格の上昇傾向は続くとしながらも、獣医サービスなどの投入コストの上昇が顕著なことから、生産者の収益は圧迫されると見込まれている。
生乳取引価格に影響する直近の5月8日の週の乳製品価格を見ると、バターが100キログラム当たり688ユーロ(9万4483円)、脱脂粉乳が同407ユーロ(5万5893円)、全粉乳が同520ユーロ(7万1274円)といずれも高水準で推移している(図3)。現地情報によると、乳製品在庫が減少する中で、第1四半期の生乳出荷量は前年を下回る見込みであり、乳製品の供給量の増加が見込まれないことが、乳製品価格が高水準で推移する要因であるとしている。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年4月末TTS相場。
(調査情報部 小林 智也)