トウモロコシの生産量は初の2億7000万トン台に到達
中国農業農村部は4月8日、2021/22年度(10月〜翌9月)の中国の農産物需給状況分析を公表した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表1)。
作付面積、収穫面積はいずれも4332万4000ヘクタール(前年度比5.0%増)と前月から据え置かれた。また、生産量は、単収の減少が見込まれるものの、作付面積の増加などから2億7255万トン(同4.6%増)と同じく前月から据え置かれたが、初の2億7000万トン台に到達する。
輸入量は、2000万トン(同32.3%減)と前月から据え置かれた。記録的な輸入となった前年度から大幅な減少が見込まれている。
消費量は、2億8770万トン(同2.0%増)とわずかな増加が見込まれているが、引き続き、消費の6割強を占める飼料向け需要が消費をけん引するとみられている。
この結果、同年度のトウモロコシの過不足は483万トン(同40.1%減)と2年連続でのプラスとされている。
また、国内のトウモロコシ生産地平均卸売価格は、1トン当たり2400〜2600元(4万7664円〜5万1636円:1元=19.86円
(注))と前月から据え置かれたが、引き続き高い水準で推移している。
大豆の生産量は大幅な減少見込み、高価格から備蓄大豆の放出を開始
また、同国の大豆の需給見通しは次の通りである(表2)。
作付面積、収穫面積はいずれも840万ヘクタール(前年度比15.0%減)と前月から据え置かれた。また、生産量は、作付面積などの減少に加え、単収の減少から1640万トン(同16.3%減)と見込まれている。
輸入量は、1億200万トン(同2.2%増)と前月から据え置かれたが、記録的な輸入となった前年度からの増加が見込まれている。
消費量は、1億1808万トン(同4.3%増)とやや増加が見込まれ、引き続き、1億トンを超過する搾油向け需要が消費をけん引するとみられている。
この結果、同年度の大豆の過不足は17万トン(同97.2%減)とプラスながらも前年度からの大幅な減少とされている。
また、国内の大豆平均卸売価格は、1トン当たり5800〜6000元(11万5188円〜11万9160円)と前月から据え置かれたが、引き続き高い水準で推移している。
高水準で推移する大豆価格に対処するため、中国政府は4月に入り計250万トン(4月29日時点)の備蓄大豆(いずれも2019年産の輸入大豆)の放出を公告した。また、同政府は、22年の政策課題として大豆作付面積の拡大を掲げており、今春の作付け状況が明らかになるにつれ、需給見通しの上方修正が行われる可能性が出ている。
米国農務省の資料によると、21/22年の世界の大豆在庫は前年度からの減少が見込まれているが、他方で中国の在庫は比較的高い水準にある(図)。このため、今後、中国国内の大豆価格の動向によっては、さらなる備蓄大豆の放出も見込まれる。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年4月末TTS相場。
参考:中国農業農村部の「農産物需給動向分析月報(2022年3月)」の公表時期の関係から、今号では中国のトウモロコシおよび大豆の月別価格動向は掲載していない。
(調査情報部 横田 徹)