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海外の需給動向【豚肉/チリ】 畜産の情報 2022年7月号

2021年豚肉輸出量は4年ぶりに減少に転じる

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22年1〜3月豚肉生産量は増加傾向で推移
 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2021年の豚肉生産量は、58万8580トン(前年比2.5%増)と前年をわずかに上回り、2年連続で増加した(図)。また、22年1〜3月は14万3955トン(前年同期比0.7%増)と引き続き増加傾向で推移している。
 チリの豚肉生産量は、13年3月に環境問題から大規模農場(母豚飼養頭数15万頭)が閉鎖されるなど、17年まで減少傾向で推移した。しかし、18年以降は養豚企業による繁殖成績や飼料要求率の改善、種豚の遺伝的改良など、生産の効率化や平均枝肉重量の増加により生産量は増加傾向で推移している。平均枝肉重量(注1)は、17年の100.3キログラムから21年には106.0キログラムとこの間に5.7キログラム(5.7%)増加した。

(注1) 枝肉重量には頭部と皮を含む。
 

 
21年の豚肉輸出量は、中国での豚肉需給の緩和により4年ぶりに減少
 2021年の豚肉輸出量(冷蔵・冷凍)(注2)は、20万9310トン(前年比9.9%減)と前年をかなりの程度下回った(表)。豚肉輸出量は18〜20年に3年連続で過去最高を更新したが、4年ぶりに減少した。全体の約6割を占める中国向けが、同国での豚肉需給の緩和により21年5月以降減少傾向となり、年間で大幅に減少(同22.9%減)したことが要因である。
 また、22年1〜3月の豚肉輸出量は、3万8889トン(前年同期比28.5%減)と減少傾向が続いている。このうち中国向けは、1万5877トンと前年同期を6割程度下回り、21年5月以降11カ月連続で前年同月を下回っている。輸出単価についても、同国での豚肉需給の緩和基調を反映して前年同期の半額程度となった。中国に次ぐ韓国向けの輸出量は、同51.7%増と前年同期を上回った一方、日本向けは、同14.9%減と下回った。このほか、コロンビア、コスタリカ、ペルーといった中南米向けが大幅に増加している。
 一方、21年の豚肉輸入量は、14万2861トン(前年比38.7%増)と前年を大幅に上回った。8月以降、COVID-19対策の規制緩和や政府支援策による消費者の購買力回復などが、豚肉需要の回復につながったとみられる。22年1〜3月の輸入量は、輸出が大幅に減少したことなどから1万9944トン(前年同期比49.0%減)とほぼ半減している。

(注2) チリの豚肉輸出量および輸入量は、ほとんどが冷凍品である。


肉豚生産者販売価格は大幅に低下
 
国内需要は回復傾向にあるものの、輸出需要の低下を受けて、肉豚の生産者販売価格は低下傾向で推移している。2022年1〜4月の肉豚の平均生産者販売価格は、1キログラム当たり0.85米ドル(110円:1米ドル=129.21円(注3))と前年同期比49.1%安と大幅に低下した。

(注3) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2022年5月末TTS相場。
 
(調査情報部 井田 俊二)