第1四半期の生乳出荷量、前年同期並み
欧州委員会によると、2022年3月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1270万4920トン(前年同月比0.5%減)と前年同月をわずかに下回った(表1)。
同月の生乳出荷量を国別に見ると、ポーランド(同1.8%増)、イタリア(同2.9%増)などが前年同月を上回った一方で、上位3カ国のドイツ(同1.4%減)、フランス(同1.2%減)、オランダ(同2.5%減)はいずれも前年同月を下回った。また、22年第1四半期(1〜3月)の生乳出荷量は前年同期並みの3539万7520トン(前年同期比0.0%減)となった(図1)。
今後、飼料価格の上昇に伴い乳牛への飼料給与量の減少が見込まれており、乳脂肪分の減少などからチーズやバターなど乳製品生産への影響も懸念されている。
こうした状況の中、EUの生乳取引価格は上昇基調にある。欧州委員会によると、22年4月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり44.51ユーロ(6198円:1ユーロ=139.26円
(注)、前年同月比25.3%高)と3カ月連続で過去最高値を更新した(図2)。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年5月末TTS相場。
第1四半期の脱脂粉乳の輸出量、前年同期比大幅減
欧州委員会によると、2022年第1四半期(1〜3月)の英国を除くEU域外向けの乳製品輸出量は、脱脂粉乳が前年同期比22.5%減の15万6018トン、チーズが同2.2%減の22万8905トン、全粉乳が同14.7%減の6万1171トン、バターが同5.5%減の4万3300トンといずれも前年同期を下回った(表2)。
EUの乳製品価格は、生乳価格や製造コスト(エネルギー価格)などの上昇もあり、いずれも高水準で推移するなど輸出市場での価格競争力が低下している。加えて、EUの生乳出荷量が減少傾向で推移する中で、乳製品生産量も前年同期を下回っていることも、輸出量減少の一因とみられる。
なお、チーズの輸出量について、最大の輸出先である米国向けのみが前年同期を上回った。EUと米国との間で貿易紛争となっていた航空機補助金をめぐる追加関税措置が21年3月に解除されて以来、米国向けのチーズ輸出量は増加傾向で推移している。
(調査情報部 小林 智也)