4月の生乳生産量、9カ月連続で前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年4月の生乳生産量は142万9400トン(前年同月比5.6%減)と9カ月連続で前年同月を下回った(図1)。また、21/22年度(6月〜翌5月)の4月までの累計でも、2048万2900トン(前年同期比4.1%減)と減少した。
ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、国内の主産地で乾燥による牧草の生育不良が見られ、今期の生乳生産量は前年度割れが確定的とし、来期(22/23年度)にも不調を引きずるとしている。
このような中で、同国最大手のフォンテラ社は5月26日、来期の当初乳価(平均額)について、生乳の固形分
(注1)1キログラム当たり9.00NZドル(772円:1NZドル=85.77円
(注2))と発表した。今期に次ぐ高い乳価水準となることについて同社のハレル最高経営責任者は、「世界的な供給不足に加え、乳製品への継続的な需要を反映している」とコメントしている。
(注1) 乳脂肪分および乳たんぱく質。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年5月末TTS相場。
乳製品輸出量、主要2品目が前年同月を大幅に上回る
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年4月の乳製品輸出量は、全粉乳を除く主要3品目が前年同月を上回った(表、図2)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は東南アジア向けなどの大幅増が寄与し、全体で大幅に増加した。全粉乳は最大輸出先の中国向けが前年同月比で4割程度減少したことを受けて、全体でもかなり大きく減少した。バターおよびバターオイルは、最大輸出先の中国向けのほか、米国向けなどの大幅増により、全体でも大幅に増加した。チーズは、最大輸出先の中国向けの大幅増により、全体でかなりの程度増加した。
GDT価格は、全粉乳を除く主要3品目が前回並み
2022年5月17日に開催されたGDT
(注3)の平均取引価格は、全粉乳を除く主要3品目が前回並みとなった(図3)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は北アジア
(注4)や中東からの需要が落ち着いたことなどから前回並みとなった。全粉乳は北アジアや東南アジアからの堅調な需要を受けてわずかに上昇した。一方、バターは北アジアや北米からの引き合いが強かったものの、取引量が伸びなかったことで前回並みとなった。また、チーズも同様に、中東からの引き合いが強かったものの、前回並みとなった。
(注3) グローバルデイリートレード。月2回開催されるフォンテラ社主催の電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注4)ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 廣田 李花子)