米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年5月12日、22/23年度最初の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表)。
これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は11億8072万トン(前年度比2.9%減)と過去最高となった前年度の生産量をわずかに下回ると見込まれている。国別に見ると、ブラジル(1億2600万トン、同8.6%増)、アルゼンチン(5500万トン、同3.8%増)などで増加する一方、米国(3億6730万トン、同4.3%減)、中国(2億7100万トン、同0.6%減)およびロシアによる侵攻を受けるウクライナ(1950万トン、同53.7%減)などの減少が世界の生産量に影響するとみられる。
輸出量は、世界全体で1億8270万トン(同7.6%減)と前年度からかなりの程度減少が見込まれている。国別に見ると、アルゼンチン(4100万トン、同5.1%増)とブラジル(4700万トン、同5.6%増)でやや増加するものの、ウクライナ(900万トン、同60.9%減)の大幅な減少が世界全体の輸出量の減少の主な要因となっている。
輸入量は、世界全体で1億7684万トン(同2.3%減)と前年度からわずかに減少する見込みである。世界最大の輸入国である中国(1800万トン、同21.7%減)は、ウクライナからの輸入が減少することから前年度を大幅に下回ると見込まれているほか、カナダ、EU、ブラジル、英国でも同様に減少する見込みである。
消費量は、世界全体で11億8497万トン(同1.2%減)と前年度からわずかに減少する見込みである。国別に見ると、ブラジル(7700万トン、同5.5%増)、アルゼンチン(1400万トン、同2.2%増)および中国(2億9500万トン、同1.4%増)などで増加する一方、米国(3億901万トン、同2.2%減)やウクライナ(920万トン、同30.3%減)などで減少が見込まれている。
この結果、期末在庫は3億513万トン(同1.4%減)と前年度をわずかに下回ると見込まれている。
(調査情報部 針ヶ谷 敦子)