米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2022年5月12日、22/23年度(9月〜翌8月)最初の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表)。
生産量は、5月中旬までの作付け遅れにより単収が前年度並みの見込みであることから、144億6000万ブッシェル(3億6730万トン(注1)、前年度比4.3%減)と前年度の生産量をやや下回る見込みである。
消費量は、自動車のガソリン消費が横ばいとの見込みからエタノール向けが前年度並みである一方、飼料など向けがやや減少する影響を受けて、全体では121億6500万ブッシェル(3億900万トン、同2.2%減)とわずかに減少する見込みである。飼料など向けの減少は、減産に加え生産者平均販売価格の上昇や家畜頭数の減少が主な要因であると考えられている 。
輸出量は、先述の通り国内消費量はわずかに減少するものの、総供給量も減少することから、24億ブッシェル(6096万トン、同4.0%減)とやや減少する見込みである。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で世界的にも輸出量が減少し、活発な取引による高値相場が想定され、比較的単価の高い米国産のシェアは拡大する見込みである。
この結果、期末在庫は、13億6000万ブッシェル(3454万トン、同5.6%減)と前年度をやや下回る見込みである。
また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.3%(同0.3ポイント減)と前年度と同じく10%台を割り込む見込みである。
このような状況のもと、国際相場が上昇傾向にあることから、生産者平均販売価格も上昇が見込まれ、同14.4%高の1ブッシェル当たり6.75米ドル(872円。1キログラム当たり34.3円:1米ドル=129.21円
(注2))と前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した6.89米ドル以来の高値が予測されている。
(注1) 1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年5月末TTS相場。
(調査情報部 針ヶ谷 敦子)