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海外の需給動向【飼料穀物/中国】 畜産の情報 2022年7月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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トウモロコシ、堅調な需要などから価格は上昇基調
 中国農業農村部は5月25日、「農産物需給動向分析月報(2022年4月)」を公表した。この中で、2022年4月の国産トウモロコシ価格は、COVID-19の拡大による主産地の都市封鎖が徐々に解除されていることで、でん粉などを製造するトウモロコシ加工企業の生産が再開しつつあることから、前月からわずかに上昇に転じている(図1)。一方で、輸入トウモロコシ価格は、ウクライナ情勢を背景とした世界的な穀物価格の上昇を受けた形で大きく反発している。また、短期的な価格動向として、豚の生産能力が引き続き高水準にある中で、同じく小麦価格の上昇からトウモロコシ代替飼料としての小麦の利用が減少し、トウモロコシへの需要回帰がより進むことで堅調に推移すると予想している。さらに、ガソリン価格や物流コストの上昇も、これを後押しするとしている。
 主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、22年4月が1キログラム当たり3.22元(63円:1元=19.48円(注))となり、同年2月から2割以上の上昇となっている。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)同2.90元(56円)に比べて同0.32元(6円)高となり、3月以降、国産と輸入の価格は逆転している。
 
 
 さらに、関税割当数量を超えた輸入トウモロコシ価格(65%の関税+25%の追加関税)は同5.20元(101円)と前月から同0.16元(3円)上昇し、国産トウモロコシとの価格差は同2.30元(45円)に広がっている。

国産大豆価格は安定、国際相場は高騰と予想
 2022年4月の大豆価格について、需給の緩和とCOVID-19の防疫対策が厳しさを増す中で、業者による大豆の買い入れが低調となっていることで前月から変更はなかった(図2)。また、短期的な価格動向として、国内の大豆の需給や市場の取引も落ち着いた状況にあることで、高値ながらも安定的に推移すると予測している。一方で、米国農務省による直近の大豆需給見通しを踏まえ、ブラジルの大豆生産量の減少などから世界的な大豆需給のひっ迫傾向が続き、加えてウクライナ情勢や主産地での天候変動のリスク懸念などから、短期的には大豆の国際相場は高騰と予想している。
 主産地である黒竜江省の搾油用向け国産大豆平均取引価格は、4月が1キログラム当たり4.98元(97円、前年同月比3.3%高)、同じく食用向け同価格は同6.12元(119円、同7.6%高)と前月並みながらも依然として前年に比べ高い水準にある。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.50元(127円、同7.0%高)と同じく高い水準にある。国産大豆価格と輸入大豆との価格差は、大豆国際相場の上昇などから縮小し、1キログラム当たり1.26元(25円)となった。
 このような中で、国際相場上昇の影響などから大豆輸入量は減少に転じ、22年(1〜3月)の輸入量は2029万トン(前年同期比4.1%減)となった。一方で、同期間の輸入総額は同20.7%増の123億3000万米ドル(1兆5932億円:1米ドル=129.21円(注))と報告されている。

(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年5月末TTS相場。

 
(調査情報部 横田 徹)