畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 生乳生産量は増加、乳製品輸入量は大幅減

海外の需給動向【牛乳・乳製品 中国】 畜産の情報 2022年7月号

生乳生産量は増加、乳製品輸入量は大幅減

印刷ページ
生乳生産量は引き続き増加
 中国国家統計局によると、2022年1〜3月期の生乳生産量は、前年同期比8.3%増の768万トンとなった(図1)。
 中国農業農村部が4月に公表した「中国農業展望報告(2022―31)」(以下「展望報告」という)によると、1頭当たり乳量の増加などから22年の生乳等生産量(注1)は、3979万トン(前年比5.4%増)になるとしている。

(注1) 牛由来の生乳のほか、ヤギやヤクなど由来の乳を含む生産量。


 
生乳価格は緩やかに下落も引き続き高値で推移
 2022年に入ってから生乳価格は緩やかな下落傾向にあり、同年5月には1キログラム当たり4.16元(81円:1元=19.48円(注2))となった(図2)。22年で最も対前月比の下落率が大きかった3月は、一大消費地である上海などがCOVID-19により都市封鎖(ロックダウン)された時期と重なるが、従来、中国の生乳価格は、需要期である春節(1月後半から2月)に向けて上昇しその後下降するという季節変動が見られるため、現地専門家からは、この価格動向とロックダウンを直結して捉えるべきではないとの意見もある。
 なお、展望報告によると、飼料価格の高止まりによる生産コスト高と乳製品の国際価格の高騰などから、22年の生乳価格も引き続き高値で推移するとされている。

(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年5月末TTS相場。


乳製品輸入量は多くの品目で大幅減
 中国の乳製品輸入量は、国内の旺盛な需要にけん引され増加傾向で推移してきたが、2022年1〜4月の主要乳製品輸入量を見ると、大半の品目で大幅に減少した(表)。
 この要因について現地報道では、前年同期の輸入実績が非常に大きかったことのほか、国内の生乳生産量の増加、乳製品の国際価格の高騰、COVID-19に起因する需要低下などが挙げられている。また、最も下落率の大きいホエイについて現地専門家からは、国内の豚価格低迷による飼料用需要減少のほか、国内の新生児数減少に伴い、育児用調製粉乳の生産量が減少しており、その原料となるホエイの需要が減少していることが挙げられている。さらに、外食産業での消費割合が高いといわれるチーズについては、国内でのCOVID-19再拡大やそれに伴うロックダウンなどによりレストランなどの営業停止が相次いだことで、輸入需要が減少しているとみられる。
 なお、展望報告によると、国際価格の上昇などのマイナス要因はあるが、生乳の需給ギャップは引き続き解消されないため、増加率は落ち着くものの、22年の輸入量も引き続き増加が見込まれている。


(調査情報部 阿南 小有里)