ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 豚肉小売価格の上昇により豚肉需要減少
飼養頭数の減少は継続
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年6月1日時点の豚総飼養頭数は7252万4000頭(前年比0.9%減)となり、前回の報告に引き続き前年同期を下回った(表1)。一方、7月中旬から8月中旬に市場へ出回ると予測される120〜179ポンド(54〜81キログラム)の肥育豚頭数は同0.7%減、8月末から10月初めに市場に出回ると予測される50〜119ポンド(23〜53キログラム)の肥育豚頭数は同0.6%減と、ともにわずかな減少となっている。カナダからの生体豚輸入は増加傾向にあるものの、米国の豚肉供給に影響を与えるほどの頭数ではないことから、今後、夏から秋にかけての豚肉供給量は、前年をやや下回ると予測される。需要の減退から卸売価格は高止まり
USDA農業マーケティング局(AMS)によると、2022年5月の豚肉卸売価格は100ポンド当たり104.43米ドル(1キログラム当たり316.98円:1米ドル=137.68円(注)、前年同月比11.1%安)となり、4月に続き2カ月連続で前年同月を下回った(図1)。例年、卸売価格は夏(6月)に向けて上昇する傾向があるが、今年は2月以降、ほぼ横ばいで推移している。一方、豚肉小売価格については、22年5月は1ポンド当たり488.6米セント(100グラム当たり148.31円、同11.4%高)と、前年同月をかなり大きく上回っている(図2)。USDAは卸売価格が伸びない要因として、小売価格の高騰による需要の減退の可能性を指摘している。中国・香港向け輸出が不調の中で、メキシコ向けは好調
USDA経済調査局(ERS)によると、2022年4月の豚肉輸出量は23万9800トン(前年同月比19.3%減)と大幅に減少した(表2)。輸出量減少の主な要因は中国・香港向けの減少(同69.8%減)にあるが、メキシコ向けは好調を維持し、4月の輸出量は同19.6%増と大幅に増加した。メキシコ向け増加の要因についてUSDAは、米国産鶏肉価格が比較的高値で推移した中で、米国での高病原性鳥インフルエンザ発生による貿易制限から、米国産豚肉に対する需要がより高まったためと分析している。また、輸出量は少ないがドミニカ共和国向けが大幅に増加しており、米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、昨年の同国でのアフリカ豚熱発生による豚肉生産量の減少が影響したとしている。