ドイツの豚肉生産量、減少傾向が継続する見込み
欧州委員会によると、2022年3月の豚肉生産量(EU27カ国)は、前年同月比7.4%減の200万9700トンとなった(図、表1)。3月は、1頭当たりの枝肉重量が94.3キログラム(同0.7%減)、と畜頭数が2131万頭(同6.7%減)といずれも前年同月を下回った。
同月の生産量を主要生産国別に見ると、最大の豚肉生産国であるスペインは同0.7%増と22年に入っても好調な生産が続いている。一方で、第2位のドイツ(同12.3%減)をはじめ、フランス(同2.0%減)、ポーランド(同19.2%減)、デンマーク(同11.7%減)、オランダ(同4.4%減)、イタリア(同7.8%減)などスペイン以外の主要生産国では、2月に続き軒並み前年同月を下回った。
英国農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、20年までEU最大の豚肉生産国であったドイツでは、同国内でのアフリカ豚熱の発生や豚肉部門の収益性の悪化を背景とした繁殖母豚や総飼養頭数の減少により生産量が減少しており、この傾向は少なくとも22年末までは継続すると見込まれている。
EU域外向け輸出量、10カ月連続で前年同月を下回る
欧州委員会によると、2022年3月のEU域外への豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)の輸出量(EU27カ国)は、前年同月比37.0%減の25万3174トンとなった(表2)。豚肉輸出量は21年6月以降、10カ月連続で前年同月を下回って推移している。
輸出先別に見ると、中国向け(同74.8%減)、香港向け(同62.4%減)が前年同月を大幅に下回った一方で、日本向け(同77.6%増)、フィリピン向け(同44.8%増)、韓国向け(同9.1%増)、豪州向け(同98.1%増)、米国向け(同71.8%増)は軒並み増加した。
最大の輸出先である中国向けは、同国内の豚肉生産の回復に伴い輸入豚肉の需要が低下しているため、今年に入っても引き続き大幅に減少している。
また、輸出国別に見ると、EU最大の輸出国であるスペイン(同38.6%減)、第2位のデンマーク(同38.1%減)をはじめ、主要輸出国のいずれも減少した(表3)。
AHDBによると、スペインは中国向け輸出量が減少する中で輸出先の多様化を進めており、中国への依存度が下がり、中国以外の輸出先への輸出量が増加しているとしている。特に、EU域外向けでは、韓国、日本、フィリピン向けで顕著な増加が見られた。
(調査情報部 小林 智也)