ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 2022年に入り鶏肉価格は引き続き高値で推移
2022年1〜4月の鶏肉生産量は、前年比微増
タイ農業協同組合省農業経済局によると、2022年1〜4月の鶏肉生産量は86万3975トン(前年同期比1.0%増)となった(図1)。昨年末のアフリカ豚熱発生の影響(注1)により鶏肉への代替需要が発生し、前年同期をわずかに上回った。しかしながら、飼料価格が高騰する中で大幅な増産は見込めず、今後の生産量はおおむね前年並みで推移すると見込まれている。2022年の国内の鶏肉卸売価格は引き続き高値で推移
2022年5月の鶏肉卸売価格は、1キログラム当たり53.9バーツ(212円:1バーツ=3.93円(注2))と昨年末からの高騰が継続している(図2)。タイでは、アフリカ豚熱の発生による代替需要の影響とコロナ禍からの経済回復、ウクライナ情勢などを背景としたインフレ圧力などにより、国内外からの鶏肉需要が高まっていることに加え、飼料価格の高騰による生産コストの増加も卸売価格に影響しているとされる。2022年1〜4月の冷凍鶏肉輸出量は大幅減
2022年1〜4月の冷凍鶏肉の輸出量は、9万9439トン(前年同期比21.4%減)と前年を大幅に下回った(表1)。同年5月以降、タイでは鶏肉処理施設などで外国人労働者の受け入れが進んでいるが、労働者の教育期間が必要なこともあり、依然として労働力不足が続いているとされている。輸出先別に見ると、主要輸出先である日本向けは、前年同期がブラジル産の価格高騰によりタイ産需要の増加となったが、今期はその反動から前年同期を下回った。一方で、マレーシア向けは飼料価格の高騰に起因する同国産鶏肉価格の高騰により、輸入需要が増加している。中国向けは、アフリカ豚熱の影響から回復し、同国産豚肉価格の低迷による代替需要の減少から前年同期を大幅に下回った。2022年1〜4月の鶏肉調製品の輸出量はかなり大きく増加
2022年1〜4月の鶏肉調製品輸出量は、21万4934トン(前年同期比12.3%増)と前年をかなり大きく上回った(表2)。輸出先別に見ると、日本向けをはじめ多くの仕向け先で増加している。鶏肉生産と同様に調製品も労働力不足が懸念されているものの、コロナ禍からの世界的な経済回復が追い風となり、ファストフードなどからの引き合いが強いことや、ウクライナ情勢による一部地域からの代替需要の増加が影響しているとみられる。