5月の生乳生産量、10カ月連続で前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年5月の生乳生産量は91万700トン(前年同月比6.5%減)と10カ月連続で前年同月を下回った(図1)。また、2021/22年度(6月〜翌5月)の累計でも2139万3300トン(前年度比4.2%減)と減少した。
ニュージーランド証券取引所(NZX)はこの要因について、春の冷涼多雨による日照不足と夏の酷暑による乾燥が継続したことで、放牧環境が不良となったことを挙げている。また、気候要因に加え、飼料などの世界的な価格上昇が生乳生産量の減少に拍車をかけたとしている。
乳製品輸出量、主要3品目が前年同月を大幅に下回る
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年5月の乳製品輸出量は、バターおよびバターオイルを除く主要3品目でいずれも前年同月を下回った(表1、図2)。
品目別に見ると、脱脂粉乳は、最大の輸出先である中国向けが前年同月比で5割程度減少したことを受けて、全体でも大幅に減少した。全粉乳は、日本向けが大幅に増加したものの、最大の輸出先である中国向けをはじめ、マレーシア向けなどが大幅に落ち込んだことで、全体でも大幅に減少した。バターおよびバターオイルは、最大輸出先の中国向けがやや減少したものの、日本や米国向けを中心に全体で増加した。チーズは、主要輸出先である豪州向けが大幅に増加したものの、最大の輸出先である中国向けが大幅に減少したため、全体でも大幅に減少した。
GDT価格は、チーズが2021年10月以来の4000ドル台に下落
2022年6月21日に開催されたGDT
(注1)の主要乳製品4品目の1トン当たりの平均取引価格は、表2、図3の通りとなった。
品目別に見ると、脱脂粉乳は北アジア
(注2)や東南アジアからの需要を背景に堅調に推移した。全粉乳は中南米からの引き合いが強かったものの、北アジアからの引き合いが弱く、わずかに下落した。バターは東南アジアからの需要が落ち着いたものの、北アジアからの需要に牽引され前回よりもわずかに上昇した。一方、チーズは、北アジアからの引き合いが強かったものの、前回よりもかなりの程度下落した。NZXはこの理由について、市場の余剰チーズが原因でオークション開始当初から劇的に需要が不足していたためと推測している。また、今回の結果が供給過剰によるものなのか、引き続き市場全体の動向を注視する必要があるとしている。
(注1) グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 工藤 理帆)