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海外の需給動向【牛肉/EU】 畜産の情報 2022年9月号

飼料費の高謄などから2022年1〜5月の牛肉生産量は前年同期並み

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2022年1〜5月の牛肉生産量、前年同期並み

 欧州委員会によると、2022年1〜5月の牛肉生産量(EU27カ国)は、前年同期並みの274万1920トン(前年同期比0.0%増)となった(表1)。同期間の牛肉生産量を国別に見ると、スペイン(同6.9%増)、イタリア(同7.6%増)、アイルランド(同9.3%増)が増加となった一方で、フランス(同4.0%減)、ドイツ(同8.5%減)などの減少により相殺される形となった。
 欧州委員会は、7月7日に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、飼料をはじめとする資材費の高騰が少なくとも22年末までは続き、その結果、肥育牛の早期出荷によりと畜頭数は増加するものの、1頭当たり枝肉重量の減少から同年の牛肉生産量を前年比0.5%減と見込んでいる。

 

英国向けの牛肉輸出量が大幅に増加

 2022年1〜5月のEUの冷蔵および冷凍牛肉輸出量は、17万1205トン(前年同期比3.2%減)とやや減少した(表2)。このうち、冷蔵牛肉は9万6815トン(同2.9%減)とわずかに減少し、冷凍牛肉も7万4390トン(同3.6%減)とやや減少した。最大の輸出先である英国向けの輸出量(冷蔵および冷凍)は8万8682トン(同16.6%増)となった。この他、冷蔵牛肉では、英国向け以外にもスイス向けなどが増加したが、ボスニア・ヘルツェゴビナ向け、ノルウェー向けの減少分を埋め合わせるまでには至らなかった。冷凍牛肉では、英国向け以外に日本やカナダ向けなどが増加したものの、フィリピン向けなどの減少の影響が大きかった。
 一方で、22年1〜5月の冷蔵および冷凍牛肉輸入量は10万5076トン(同32.2%増)と大幅に増加した(表3)。EUの牛肉自給率は100%を超えており、この余剰分を輸出に向けているが、他方で輸出量の半分程度を輸入している。最大の輸入先は英国で、輸入量全体の34.2%を占めた。日本からの輸入量は同1.0%とわずかではあるものの、1089トン(同233.0%増)と前年同期の3倍以上となった。EUの経済活動の再開に伴い徐々に和牛の流通が拡大したものとみられる。
 前述の短期的需給見通しによると、22年のEUの牛肉輸出量は、EU域内の牛肉価格が比較的高いことから制約を受けるものの、前年比4.0%増と見込んでいる。また、輸入については、外食産業の再開やブラジル、アルゼンチンからの輸入増から、同15.0%増と見込んでいる。




(調査情報部 渡辺 淳一)